Guide-text of ENTRANCE novels

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●はじめに
 この投稿コーナーは2001年5月から始まりました。投稿作も増えに増えて(ついでに長年掛けて挿絵も描き溜まってきて)、最近ついに短編小説が100編(!)を突破しました。
 抜群の読み応えはもとから保証されたようなものですが、一から追いかけるというのもずいぶん骨が折れる量になってしまったわけで……。
 そこで、このテキストです。このページでは各話一行あらすじと、大きな流れの解説、そして主要キャラに関連する短編へのリンク集が特集されています。
 管理者が記述したいささか主観が入ったガイドですが、手間を省きたい方にはお勧めです。
 本当のお勧めは、このページをすぐ閉じて一から目を通すことなのだけど……

 注意を二つだけ。後述しているキー・エピソードの選出基準は「キャラクターを手っ取り早く把握できると辺境紳士が判断した」ものです。
 そして、このテキストに記された事項も公式なものではありません。



●各話あらあらすじ 文字を大きくしてGO!

vol.1 Heart&Pain
  記念すべき最初の投稿。サリーとウェッソンのお話。
vol.2 Lesson 1
  宿に転がり込んだ騒動、テムズが頑張ります。Lessonシリーズ第一弾。
vol.3 A day
  宿のなにげない一日を描いた短編。導入におすすめ。
vol.4 His distinction
  ウェッソンの過去が描かれ始める。ガン・アクション。
vol.5 Magical★girl
  大きな潮流の一つ、「マジカル★ガール」のキーがここから始まる。
vol.6 Cat-detective
  サリー探偵物語。風変わりな依頼の顛末とは?
vol.7 Destination of the bet
  テムズの過去と、宿のお話。
vol.8 Frill & Dream pursuers
  財宝シリーズ第一弾。一筋縄では行かない連中ばかり。
vol.9 Memories
  テムズの思い出と、宿の話。
vol.10 Puzzled bucket
  原作者が初めて書いた、小説らしきもの。三人とバケツのお話。
vol.11 Stepfather no steps
  六月のある日に届いた短編。宿屋での、何気ない出来事。
vol.12 Lesson 2
  宿を巻き込む大騒動。ここからパラレルに、二本の短編に続きます。
vol.13 Memories on Country load
  vol.9「宿帳と思い出」の続編。
vol.14 Lesson 3-1
  Lesson2の続編その1。マジカルな並列は、一人の令嬢の恋へと続く。
vol.15 Lesson 3-2
  Lesson2の続編その2。ウェッソンがいろいろ頑張ります。
vol.16 Magical★crisis
  マジカル★続編。過去最悪の敵に魔法少女大隊が挑む!
vol.17 Brothers returns
  vol.16の一方で、宿にやってきた兄弟とサリーのお話。
vol.18 His heart
  呑気な日常に打ち込まれた一本の楔。ウェッソンは再び銃を取る。
vol.19 From out of dark
  とにかくウェッソン災難編。女運が悪いのは間違いない。
vol.20 Lesson4
  吟遊詩人とテムズのお話。

vol.21 Shotgun-detective
  サリー探偵物語。好敵手登場?
vol.22 Red angels
  医師の因縁がもたらした一つの事件と、ささやかな恋の話。
vol.23 Storm bringer
  東からの珍客と、宿屋のお話。
vol.24 Magical♪eel
  マジカル★パラレル短編。
vol.25 Pick & Dream pursuers
  財宝シリーズ第二弾。今度のウェッソンは真剣だ。
vol.26 White lovers
  クリスマスに届けられた、四つの短編。現在と過去と、二つの夢のお話。
vol.27 With your bird
  テムズの変調の原因を突き止めるべく、動き出した迷探偵。
vol.28 Scythe of misfortune
  とあるサリーの苦悩と、保護者のお話。
vol.29 Dance with the mist
  サリー探偵物語。警部も登場、それっぽい編。
vol.30 The Movie
  初の長編! 死闘の果てに待つ、もうひとつの真実!!
vol.31 Witches & Prince
  テムズと王子様のお話。
vol.32 A tip of good bye
  日常へのひとときのお別れ。エントランス最終回。っぽいノリのお話。
vol.33 Entrance holds the old days
  パブを訪れたとある客。彼もまた、この場に過去を預ける一人。
vol.34 The horror story of Themz
  ある日サリーが発見した鍵――それが巻き起こす恐怖のお話。
vol.35 Spring smell
  ウェッソンの悔恨と願いと、再び姿を現した幽霊のお話。
vol.36 Devil comes suddenly
  フロンティア・パブを襲った災厄と、立ち向かう人々の勇気を描いた一編。
vol.37 Maybe hero
  四年前。独り宿に残されたテムズと、レドウェイトが関わった小さな事件。
vol.38 Added day
  いつも通りの一日に割増されたとある顛末。パブ好きのあなたに贈る、真の主役達のお話。
vol.39 Phantasy trickstar
  サリーが出くわしたギターを携えた吟遊詩人、彼が語る夢のように馬鹿なお話。
vol.40 Baritsu
  主にサリーが死闘を繰り広げる、エントランス初となる涙と炎の大格闘巨短編。

vol.41 The little red horned girl
  テムズと触覚のお話。
vol.42 Summer bucket
  サリー探偵物語、標的はバケツ? 暑中お見舞い申し上げます。
vol.43 Guns twilight
  ついに立ち上がるウェッソン。銃は課せられた試練を貫けるか? 宿のお話。
vol.44 Sense brows over
  サリーの見た夢から始まるお話。冬の訪れが次第に、それを凶兆へと変えてゆく。
vol.45 Detective's crisis
  探偵が目覚めたときには既に、破局は吹き荒れていた。サリーのささやかな危機のお話。
vol.46 Destiny
  ウェッソンが辿る『運命』の欠片にして、長編。
vol.47 Lesson 5
  『運命』を巡る、3+2+1+5555人の物語。こっちは短編。
vol.48 The adventure of duo!
  あのイラストの世界がとにかくそのまま小説化。幼い子供の願いに応えた、テムズとサリーの大冒険!
vol.49 Lesson 0
  フロンティア・パブを訪れた一人の青年、彼に宿の三人が与えたものとは。初めて読む人でも大丈夫、温故知新のお話。
vol.50 Today goes on
  本編五十回記念。唐突にフロンティア・パブを去った店主。残された二人の辿る、もうひとつのエントランス最終回。っぽいノリのお話。
vol.51 Dreamers at the Tower
  宿の三人と三人の怪盗が繰り広げる秘宝争奪戦。と見せ掛けて……。
vol.52 the Fool, the Detective
  サリーと愚者を名乗る少年、そして橋のお話。
vol.53 Appointments in the rain -B
  雨は続く。宿にふらりと現れた一人の美女、彼女は誰かを待っているようだったが……。
vol.54 the Fool, his relations
  ウェッソンと愚者を名乗る少年、そして銃をめぐるお話。
vol.55 Dreamers at the Tower 2
  三人の怪盗が再び高いところに登ったり駆けずり回ったりと大暴れです。
vol.56 Wish your Birthday
  いつもの宿屋に見慣れないお客がやってきて、この、ささやかな誕生日を巡るお話が始まります。
vol.57 Beside an old photo frame
  サリーの郷里の思い出、そこからやってきた老紳士。サリーの過去と現在を巡るいろいろな視点のお話。
vol.58 HOMEPATH
  港へお使いに出された途中、かつての戦友と出くわしたウェッソン。彼はこれから、どこへ行くのか?
     

ex.1 Neighbours
  とある診療所にいる、一人の医師と二人の看護婦のお話。
ex.2 Angel encounter
  鍛冶屋の青年が一人の天使と出会うお話。
ex.3 Magical★girl from North country
  vol.13「帰郷」の続編を、北の国からお届けします。マジカル★外伝。
ex.4 Styx
  前代未聞、長編予告短編。ダイジェストもあるよ。
ex.5 Magical★front line
  アリサが戦場で見た幻のお話。マジカル★外伝。
ex.6 Magical★front line 2
  その後日談と、もう一人の看護婦のお話。
ex.7 Attic stroller
  屋根裏で出会った、はにわと二人のレディのお話。
ex.8 Name vanished
  フォートルの名に残っている、記憶のひとひらのお話。
ex.9 Separation&Beginning
  vol14の後日談より続く、令嬢の恋の行方。
ex.10 Frontier pub in China
  パラレル短編。「中華」のキーを配するとこの作品世界はどうなるか?
ex.11 A strays hymn
  はぐれ者達が集う時、吟遊詩人を中心として事件は起きる。
ex.12 Invisible prayer
  四匹のうさぎとその周りにいる人々の、なにも起こらないお話。
ex.13 Star & rabbit prayer
  ex3から溯って、屋根裏で出会った少女と魔法使いのお話。
ex.14 An inspector & Ladies
  レドウェイト警部と街、そしてすれ違う令嬢達と微笑む婦人のお話。
ex.15 The lunar orbit
  アニキと朧月に関わる、三つの記憶と一つの物語。
ex.16 The prince lights heartless comedy
  とある路地裏で繰り広げられる、捕捉者と王子様の喜劇。
ex.17 The prince flows in loneliness space
  ある路地裏でも繰り広げられる、捕捉者と王子様の喜劇再び。
ex.18 The fair presents
  セリーヌが訪れた邸宅。そこは既に、彼女の家ではなかった。物語の物語。
ex.19 See you under the sky
  新大陸で出会った二人の東洋人と、贈り物と、新たな予兆のお話。
ex.20 Dogs on spring
  補捉者と、東洋の商人と、トレジャーハンターと、海賊島のお話。

ex.21 Magical★sequence
  起結をどこに定めようとも、これは二人のマジカル☆ガールのお話。
ex.22 Fortune
  アリストが辿る『運命』の欠片にして、長編。
ex.23 Sally's song
  作家志望の若者と、金色の少女の青春物語。
ex.24 Separated rain
  鍛冶屋の青年が一人の死神と出会ったお話。
ex.25 DOWN-DAWN
  雨の屋敷で、捕捉者と怪盗と姉妹と主従の物語は夜を徹して綴られる。
ex.26 Skip'n Side Steps
  アリサが見掛けた黒い毛布。リプレイ第二話のほんのり後日談的な、街角の一節。
ex.27 Dance with the Rose
  vol.29「Dance with the mist」の後日談。薔薇を辿る霧の中のお話。
ex.28 Lunar Scarlet
  アニキのかつての師を軸とした一筋の年代記。二つの視点、一つの物語。
ex.29 Appointments in the rain -A
  雨は続く。看護婦リディアが街角で見た事件のかけらと、遅れた待ち合わせのお話。
ex.30 A constable on the roof
  若き巡査部長が出くわした、屋根の上の大事件のお話。
ex.31 Edge of Four
  鍛冶屋の青年と、彼が名を継いだ師、刀にまつわる一夜のお話。
ex.32 Magical★termination
  三匹の魔法ウサギと魔法少女を巡る因縁が、ここに一つの決着を見る。

ss.1 Autumn door
  とある事故が招いた空白。夏の終わりに語られる、最初の超短編。
ss.2 Laid in rain
  エントランス随一のいぶし銀、レドウェイト警部の捜査のお話。
ss.3 Dears to Yours
  作家志望の若者達が交わした、書簡の欠片。
ss.4 Fate
  長編『運命』の始まり、そして静かな結末。宿のお話。
ss.5 Drowsings
  過去か予感か。現実か虚構か。全てを内包してなお白くまどろむ、夢のお話。
ss.6 Dreams
  願望か希望か。断罪か自責か。深く浅く流れの先に見る、これまた夢の物語。
ss.7 Siesta
  サリーは走る、事件を求めて。そんな彼女の一日。
ss.8 Random encounter
  偶然の対峙、あるいは必然の交錯。そんな一節が点滅するお話の数々。
ss.9 SIX
  レドウェイト警部の捜査は今日も続く。今回は足ではありません。
ss.10 Corrupt practice
  カウンターを取り巻く人々のお話。きみは、みんなわかるかな?
ss.11 Last order
  かつてフロンティア・パブにあった三番円卓を巡る、最後のお話。
ss.12 Name never vanishes
  やがて時は過ぎ、フォートルが呟く二つの名前。彼が得たなにかを記した、マジカル☆超短編。
ss.13 Snow falls at the same
  パブの近所にある診療所、聖夜にちょっとした事件は起こる。医師とアリス達のお話。
ss.14 Handkerchief
  サリーと謎のハンカチのお話。
ss.15 Parallel world
  平行世界の謎にウェッソンとサリーが挑む、極北の超シュール異色超短編!
ss.16 Ordinarily street
  ちょっと視点を変えてみると、また違うフロンティア・パブの姿。のんびりとした夕方の一節。
ss.17 White street
  いつもの街角、ふたたび。雪の降る年末の短いお話です。
ss.18 Boundary divides Curry
  台本という形でお送りします。医師と看護婦と船乗りがカレーを食べるお話。
ss.19 NOSTALGIA
  労働者の青年が初めて入ったその店は、フロンティア・パブという名前でした。毎日のようにあるであろう、酒場の中の暖かい光景。
     



●エントランス世界の大きな流れ・構造の数々 これは解説になっているのか?

フロンティア・パブと三人
設定上唯一のテーマ。あらゆる日常と物語がこの宿屋から始まり、集結していきます。大まかすぎるためにこれを正面に据えた話はないのですが、逆に全ての短編からこのテーマを読みとることができるかもしれませんね。
三人と、その他の人々
過去二年間の投稿で、数多くの登場人物がエントランス世界の住人として定着しました。時に三人を凌駕する存在感を持つ彼らの関係性と物語も、一つの構造を成しています。
短時間でその全体を把握することは困難ですが、それによって初めて作品世界はその全貌を見せてくれるでしょう。
平行性
エントランス投稿の鋼の掟として、「公式設定は増えない」というものがあります。今まで挙げられた設定をどれだけ遵守する(あるいは解釈する)かは新しい短編の作者に一任されているため、時にそれらは矛盾を内包します。
矛盾も含めて楽しんでしまおう、そういう趣旨でエントランスは更新されてきました。




●主要登場人物特集 ネタバレを避けるならば、読まずに戻るが肝心

▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ フロンティア・パブの人々

○テムズ
 常識人で宿の大黒柱にして主役と目される彼女は、サリーやウェッソンと違い比較的「人との関係」が描かれる事が多いです。客を始めとしてご近所に至るまで付き合いの広い彼女を中心に据えることは、作品世界の把握の一助になるでしょう。
 そんな彼女がピンで描かれる短編では自然と、亡父や宿屋との関係がクローズアップされるようですが……果たしてそれは、束縛なのか安息なのか。成熟したようで、その実は発展途上です。

★キー・エピソード★
vol.7「川が見ていたはなし」(ねずみのママさん) ◇彼女の方向性を形作った、四年前のエピソードが描かれています。
vol.2「Lesson1 How to polish up glasses 」(哲学さん) ◇違うベクトルにもう一本、方向性を形作ったエピソードが描かれています(笑)
vol.27「…with your bird」(柳猫さん) ◇先述した、宿と亡父との関係がテーマとなる小編。
vol.38「フロンティア・パブの二割増な一日」(しゃんぐさん) ◇テムズと、フロンティア・パブ。どこかにある本質の一つを描ききったエピソードです。


○サリー
 最大の非常識人であろう彼女は一義的に、「動」が描かれる割合が高いです。他称保護者のウェッソンとしょっちゅう行動する事が多いだけに、彼とのエピソードも比較的多くなっていますね。
 現時点では、サリーの過去が表立つ作例は見られません。過去より現在、現在より未来。若いからなぁ……。

★キー・エピソード★
vol.6「サリサタ・ノンテュライトの小さな難事件」(影冥さん) ◇サリーが冒険をする最初の短編。
vol.1「サリサタ・ノンテュライトの災難 」(ねずみのママさん) ◇全ての始まりとなった一編。サリーとウェッソンが描かれています。
vol.26「ホワイトクリスマスとその顛末 1」(ねずみのママさん) ◇そして、その直系となるだろうエピソード。


○ウェッソン
 過去の多さでは右に出る者がない男なだけに、彼のエピソードは幅と深さ、そして抑制が見られます。サリーとのエピソードでは少々勝手が変わってきますが……
 彼のキーは銃でしょう。(あるいは、なにかと有るらしいこだわり?)平和なフロンティア・パブの日常に悪意か過去の影が差すたびに、ウェッソンは銃を取って戦いに向かうわけです。おいしい奴め。
 と言って、彼が自分の過去に対してどんなスタンスを取っているのかは……それは、明らかになっていません。

★キー・エピソード★
vol.4「ウェッソン・ブラウニングのけじめ」(影冥さん) ◇彼の生き様のひとつが描かれた小編。
vol.15「Lesson 3 Lecture of good hunting」(哲学さん) ◇ウェッソンとサリーとの、一つのベクトルを示す一編。
vol.26「ホワイトクリスマスとその顛末 2」(ねずみのママさん) ◇ウェッソンと、フロンティア・パブのお話。
vol.30「魔弾の射手」(哲学さん) ◇ウェッソンの過去と現在が主軸に語られる最大規模のエピソード。
vol.43「空の茜の夕闇に」(ハレルヤさん) ◇そもそも、何故彼は宿の居候なのか? 外と内、いつか問われるかもしれない言葉をつづる小編。
vol.46「運命」(哲学さん) ◇THE MOVIEの周りを流れるウェッソンの物語、それに対してここで彼は一つの答えを出す、のかもしれません。彼の背負い込んだ因縁の多さが存分に味わえる長編。



▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ その他の人々

○お客さん
 客の視点からフロンティア・パブという舞台を描写したとき、テムズたち三人の姿はまた違う風に見えることもあります。一見さんも常連客も、この宿を訪れる人々は、等しくエントランスの主役であると言えるかもしれません。この物語群はエントランスを読み慣れていない人に、比較的おすすめ。
★キー・エピソード★
vol.3「FRONTIER PUBのとある一日――あるいは毎日――」(影冥さん) ◇いきなり人間外のお客が来てます。
vol.33「追慕」(ねずみのママさん) ◇淡々と進む物語に一瞬戸惑いを覚えるかもしれません。最後まで読んでいってみると霧が晴れるかも。
vol.38「フロンティア・パブの二割増な一日」(しゃんぐさん) ◇お客が来なければ始まらない、そんな宿屋と、経営者の魂の話です。
vol.49「忘却の道標」(哲学さん) ◇迷っているお客さんもフロンティアパブに来れば、何かいいことあるかもです。
vol.53「美女とモップ」(ねずみのママさん) ◇ときにはほんの些細ないざこざを店の中に持ってくる人たちもいるわけで……。
vol.56「忘れられない誕生日」(ねずみのママさん) ◇お客さんたちの暖かい物語。このハートウォーミングは希少です。
ex.2「外伝 働くお兄さん――鍛冶屋編――」(影冥さん) ◇平凡な視点から見ると、働くテムズは魅力的に見えるのです。
ss.16「平和な人々」(都波さん) ◇近所の窓から見えるフロンティア・パブ、という独特の視点は一読の価値あり。
ss.17「幸せな人々」(都波さん) ◇近所を歩いてみると、赤毛の店主と挨拶くらいはするかもしれません。そんなささやかな関わりもまたエントランスのエピソードです。
ss.19「望郷」(瀧さん) ◇事件も何もない日に、フロンティアパブの店内がどうなっているかは、この短編で見ることができるでしょう。

○おじいさん
 なんというか、最優秀助演男優賞を与えたい人。
 ほとんどサリーとの交流しか描かれませんが、その熟成された存在感はしばしば重要なファクターとなっています。

★キー・エピソード★
vol.8「キャプテン・レディ・フリルの財宝」(影冥さん) ◇彼の笑いが炸裂します。ほっほっほ。

○なじみの医師
 第一話から数えて10回以上登場している、堂々準レギュラーの医師。デフォルトで名前が無いのを気にしてはいけません。
 客観性に優れた、エントランス世界では希有な人材です。しかし、色々訳ありな苦労人。

★キー・エピソード★
vol.22「赤い悪魔と神の加護」(ねずみのママさん) ◇医師の過去がクローズアップされた代表作。
ex.1「外伝 働くおじさん〜医療編」(影冥さん) ◇そしてもう一つ、代表的なエピソード。看護婦ズも初登場。
ss.5-5「笑わない檻の閉開」(柳猫さん) ◇診療所の物語。人間関係でも読ませる掌編です。

○アリス&セリーヌ
 診療所の問題児×2。よくもまあ、こんな人材を雇えたものだと感服できます。
 真面目には働いているので描写自体は多くはありませんが、そこを決して読み流させないキャラクター。

★キー?エピソード★
ex.6「番外編:救命陸戦部隊24時」(哲学さん) ◇診療所外の、彼女達の側面のひとつ。
ex.14「外伝 レドウェイト警部の日常〜例えば非番の場合〜 」(柳猫さん) ◇レドウェイト警部の的確で偏った視点から、また違った二人が描写されています。
ex.18「遺言」(柳猫さん) ◇セリーヌの過去と現在を貫いて語られた、ビターな物語。
ss.13「聖夜の天使」(ねずみのママさん) ◇実のところ、医師はアリスに弱いのかもしれませんね。クリスマスイブのちょっとハートウォーミングな物語。

○若い鍛冶屋
 地味ながらもおいしいところにいる鍛冶屋君、爽やかほろ苦ドラマには欠かせません。関係性がクローズアップされているのはテムズと、ウェッソンでしょう。先代の親方が関わるまだ見ぬエピソードも、きっとあるはず……とにかく、頑張れ。
★キー・エピソード★
ex.2「外伝 働くお兄さん――鍛冶屋編―― 」(影冥さん) ◇彼の方向性を確定した重要な一編。
vol.22「赤い悪魔と神の加護」(ねずみのママさん) ◇それをそのまま突き進めた代表的な一編。
vol.29「霧笛の探偵」(辺境紳士) ◇少なくとも、このパートは上二編の後にお読み下さい。
ex.24「雨の記憶」(ペペドンさん) ◇ついに語られ始めた彼の物語、それはまだ断片に過ぎないけれど。

○アリサ&ヘレナ
 テムズの友人として作中に登場した彼女達ですが、経過と共に一番大きく成長したのもまた彼女達でしょう(挿絵的にも)。それは、途中で黒いウサギに出会ったことにも起因するかもしれません……
 ともあれこれからもテムズの重石となり支えとなり、その他には話の主役として活躍してくれるはず。

★キー・エピソード★
ex.5「外伝 魔法少女アリサ」(辺境紳士) ◇アリサ主役の、最初のエピソード。……すまんアリサ。
vol.9「宿帳と思い出」(影冥さん) ◇アリサ&ヘレナ初登場。大規模な伏線が多い中、ヘレナのウェイトが高いです。
vol.37「レドウェイト巡査長の日常 〜時の前に立つ〜」(柳猫さん) ◇四年前のエピソード。彼女達の友情、その原点を見ることができます。

○フォートル
 黒い魔法ウサギ。彼とテムズには大きな因縁があります。「マジカル☆ガール」のキーで括られた十何編かのエピソードは、エントランス世界の支流として確実に流れています。
★キー・エピソード★
vol.5「魔法少女テムズ」(影冥さん) ◇これを抜きには語れません。
vol.16「魔法少女の死!?」(影冥さん) ◇マジカル☆シリーズのアンカーとなる一編。フォートルの過去が垣間見えます。
ex.8「外伝 チカラアルモノ」(影冥さん) ◇フォートルと、後二匹にまつわる因縁の始まりが描かれています。
ex.32「受け継がれるもの」(影冥さん) ◇マジカル佳境にして、マジカル決着。三匹の魔法ウサギと三人の魔法少女が、一連のシリーズに決定的な区切りを付けます。

○オード&フランク
 兄弟だったり平行した存在だったりいろいろですが、ともあれ彼ら魔法ウサギはフォートルと、そしてヘレナ&アリサと大きく関係しています。
 メガネの位置と蝶ネクタイの色で見分けましょう。オードが青、フォートルが紫、フランクが赤です。

★キー・エピソード★
ex.3「外伝 魔法少女ヘレナ」(影冥さん) ◇オードと、ヘレナの出会いを描いた小編。
ex.5「外伝 魔法少女アリサ」(辺境紳士) ◇フランクと、アリサのどうでもいい出会いを描いた小編。

○アニキ&テリー
 そのクセのあるキャラに惹かれる読者多数? 最もライバルに近い奴らです(←誰の)
★キー・エピソード★
vol.8「キャプテン・レディ・フリルの財宝」(影冥さん) ◇記念すべき初登場編。
vol.25「究極と至高の名のもとに 〜ただ一欠片の輝き〜」(影冥さん) ◇奴らの芸風の究極形に圧倒されること請け合い、かも。
ex.15「外伝 朧月夜」(影冥さん) ◇いつもの義兄弟と違うのは、過去の話だからです。
ex.20「海賊忌譚」(しゃんぐさん) ◇ついにテリーが大暴れ! アニキも魅せてくれますよ! その他おまけ満載の中編活劇。


○アリスト
 キャラクターの特殊性は、他の追随を許しません。テムズとのエピソードの他では見られない彼ですが、いろいろと期待したいところです。そして彼を巡る一連の物語を追い切れたとき、エントランスの大半は読むことができているはず。
★キー・エピソード★
vol.20「Lesson4 Money is a great traveler in the world」(哲学さん) ◇アリスト登場編。
vol.26「ホワイトクリスマスとその顛末 3」(ねずみのママさん) ◇さらにパワーアップして再登場。
ex.11「はぐれ者達の賛美歌」(哲学さん) ◇彼の真実は、ここに語られているかも。THE MOVIE読後を推奨します。
vol.39「夢のように馬鹿な話を」(哲学さん) ◇ex.11より続く一筋の物語は、サリーの脇を通りさらに流れて行きます。
ex.22「運命」(哲学さん) ◇そして、全ての結末がここに集まるのです。恐らくそれは、始まりと限りなく似た形をしているでしょう。アリストとテムズと夢を巡る長編。

○アクワイ
 路地裏から始まる裏ストーリー、鍵を握るのはマニアックな戦闘能力を誇るこの黒い毛布だ。陰険なのか一途なのか一筋縄では語れない複雑なキャラクターですが、とりあえず、エピソードを問わず苦労性のようです。サリーを敬意の眼差しで暖かく捕捉する唯一の登場人物。
★キー・エピソード★
vol.12「Lesson 2 Anything is My Weapon」(哲学さん) ◇実はこのエピソードで初登場。
ex.16「アクワイの無様な――そしておそらくはいつもどおりの――日常」(しゃんぐさん) ◇彼の存在を決定付けた誕生日的エピソード。彼を取り巻く主従関係はすでにここで語られています(ちなみに彼の主人の初登場は本編第31話)。路地裏でアクワイが苦労します。
ex.20「アクワイの無謀な一日〜海賊忌譚〜」(しゃんぐさん) ◇エントランス・スピンオフとも言うべき冒険巨編。絶海の孤島でアクワイが苦労します。
ex.26「アクワイの憂鬱な正午」(しゃんぐさん) ◇短いエピソードの中でアクワイが忌憚無く苦労する街角の物語。

○レドウェイト警部
 街をオフィシャルに守る立場である彼の視点は、包括的に作品世界を捉えます。足を使って付いていけば、また新たな理解とハーフボイルドな物語が待っているはず。
★キー・エピソード★
vol.29「Dance with the mist」(辺境紳士) ◇警部初登場。
ss.2「Laid in rain」(柳猫さん) ◇この超短編さえ読めば警部が解るかも。
ex.14 「An inspector & Ladies」(柳猫さん) ◇思索と観察が絶好調。様々な伏線と、様々な広がりが盛り込まれた一編です。

○はにわ
 誰との関係性も描かれない、絶対観察者――と思われましたが、彼にも因縁があります。人ならぬ者の過去ともなると、我々には計り知れない深さがあるのでしょう。
 現在に至るも、全てが謎です。

★キー・エピソード★
vol.3(2)「One day part2」(はにわさん) ◇はにわ登場編。
vol.15(2)「橋上の戦い」(影冥さん) ◇はにわ死闘編。

○うさぎ
 ……………。
★キー・エピソード★
vol.3「FRONTIER PUBのとある一日――あるいは毎日――」(影冥さん)
ex.12「揺らぐ黙祷と彼女達」(辺境紳士)
ss.4「運命」(哲学さん)



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