Super short 15
ウェッソン(以下、W)
「人生はパラレルワールドなのだよ。」
サリー(以下、S)
「パラレルワールド?」
W
「そう。平行世界だ。交わる事のない複数の世界が、同時に存在し、同時に進行している。」
S
「それって、つまり・・・・・・どういう事?」
W
「つまり・・・・・・、それは・・・・・・、例えばだ、恋愛小説を書きたいとする。しかし、
自分には恋愛経験がない。この場合、経験するのが先か? それとも執筆するのが先か?」
S
「うーん、経験かな?」
W
「チッチッチッ(人差し指を立てて、車のワイパーの動き(笑))。甘いな。
それは『同時』なのだよ。」
S
「えー? 同時? 無理だよ。だって人は2つのことを同時に出来ないよ。」
W
「フッ(小ばかにしているポーズ(笑))。だから甘いと言ったのだよ。
ここで先程出て来た平行世界(パラレルワールド)の概念が出て来るのだよ。」
S
「概念?」
W
「いや、これはただの概念ではない。真実なのだよ。」
S
「真実?」
W
「そうだ。人間は2つの、いや、2つ以上のパラレルワールドを行ったり来たり、或いは、
同時に経験できるのだよ。しかし、
君はまだ別の次元(世界)に同時に存在している『君自身』に気がついていない。
その世界では、君はこの世界で経験しているのとは違う経験をしているのだよ。」
S
「つまり・・・・・・、あっちの世界で恋愛経験を積みながら、
こっちの世界で執筆をする・・・・・・という事?」
W
「その通り。わかってきたじゃないか。」
S
「しかもそれは同時進行だと?」
W
「そうだ。その通り。しかも世界は2つだけじゃない。もっと一杯ある。」
S
「へー。」(遠くを見つめるサリー。)
そのまま、2人とも沈黙する。
パラレルワールドに行っているのだろう。
いや、そもそもこの会話自体、パラレルワールドでなされたものなのかもしれない。
おしまい