2013/1〜3

1/3 Thu


 あけましておめでとうございます!
 今年も仕事したり仕事じゃないことをしたり、いろいろサイト上に反映されていきますので、たまに覗いていってみてください。去年は量と速さのある漫画描きが多かった印象があるんですが、2013年はじっくりイラストを描く方に軸足を戻すのも良いなあ……となんとなく感じているところです(どっちが欠けてもうまくなれないしね)。
 あとは今年も「やったことないことをする」を小目標に掲げていますが、こちらはまだなんにも考えていません。こういうのはタイミングとインスピレーションが導いてくれるにちがいない。

 昨年末はコミケに一般参加として遊びに行っていました。自分も落選さえしていなければなあ……と思うのが半分、後は、「こいつら全員楽しそう! 俺も本作ろう!」と元気と意欲をもらえたというのが半分くらいです。やる気チャージに、「足を運んで表現者を実際見てくる」ってのはすごく即効性があるメソッド。こっちは新刊の締切まであと半月です。近いぞ!
 まず日向さんが座るHUMMING LIFEで新譜「マージナルブレンド」(通販中)ゲット。狙った通りの仕上がり! 嬉しい。2012年はアルバムが2枚と、HUMMING LIFEの製作に深く関わることができた一年だったなー、と思います。良い経験ができました(今年もよろしくお願いします)!
 今年最後の西日がビッグサイトを照らす……。
 今回は(落選したので)混雑しない明るいうちに撤収することにします。回りたいところをいろいろと諦めた短期一般参加だったのですが、今年にだって機会はたくさんあるはず。
 新橋地下にちかごろ新しいプロントが入っていて、ゆりかもめで帰る道中ここでのんびりコーヒーが飲めるようになりました。イベント直後に落ち着けるこういうタイミングが非常に好きです。
 もうひとつ自分が関わった冬コミ新作はじめての同人誌通販中)をめくって、作りの良さとコンセプトの明確さにあらためて感じ入ったりしてました。ほんとに初心者・上級者問わないオールレンジな冊子だと思います。
 コミケではCircles' Squareのお二方にご挨拶できたのですが(お互い忙しいタイミングだったので、また改めて「同人」ってテーマについて時間を掛けてお話ししたいですね)、そのとき「今回、女性のお客さんも手に取りやすいみたいです。今野さんのイラストの効果ですよ!」と言っていただけたのが凄く嬉しかったです。これが本当であれば、自分はイラストレーターとしての役割をちゃんと果たすことができたんだな−。

 この企画、twitter上でつぶやかれた「イラストレーター募集!」という声を聞いて、自分が手を挙げたのがきっかけでできたご縁でした。自分になにができるか完全な確証があったわけではないんだけど、面白そうな気配をわずかにでも感じた瞬間に手を挙げるのが、自分の場合良い結果を招く(場合によっては、以降何年間にもわたって)ことが多いようです。ノスタルジア1907の名台詞にもあるように、「感情はカン」です。
 コミケから撤収した後は奥様のご実家で三匹のわんこと遊んだりです。犬はすばらしいものだ。
1/14 Mon


 今日は珍しく昼からどかどか雪が降り出し、積雪も近年まれなくらい。寒いのでこたつのなかでサイト更新を試みる。MacBookとはコタツと日本人のために作られたかのようだ。

 そんな冬の一日、引き籠もって新刊を作ったり(カバーと口絵ができた)単行本を作ったりまだ見ぬ新作を練ったりあれやこれやの一月、もうすぐ半ばを過ぎそうです。年末の激務にくらべると丁度良い密度ではあるけど、できればもう少しゆったりしたい。お汁粉とかすすろう。



そんなわけで、単行本特設ページを作りました。
この企画についてまだ詳しくは言えないのですが、"制作中の様子"もふくめて1月中このページをちょくちょく更新していきたいと思います。
本編の無料公開は1/7までなので、この年末年始にのんびり読んでやっていただけるとさいわい。
webで読める雰囲気をそのまま再現しつつ、「本」というかたちのための加筆・修正・調整・補正をがんがん加えたものにしていく予定です(せっかくなんだから、"気持ちよくお金を出して買えるもの"に仕上げるのが今回の目標です)。おたのしみに!
1/21 Mon



 世のコミケムーブメントに遅れること一ヶ月、ようやっと冬の新刊原稿が揃いました。ページ&挿絵&挿絵の密度も増量、気軽な気持ちでカバーに箔押ししたら「この図柄は高精細箔じゃないと押せませんよ」と言われ2倍のコストが掛かったり、いいのかってくらい豪華な小説本になりました。頒布価格は社交場史上最高額の800円(FAPRシリーズでも700円でした)。なかなかこいつは「趣味道楽」の極みが見えてきたなあ……。さあどうなることか。特集ページもイベント前に公開するので、お待ちあれ。

 先日は富士見書房の新年会で色々な方とご挨拶してました。思いがけず「絶体絶命英雄」の単行本化を祝って貰って、非常に嬉しかったり恐縮したり。がんばらねば。
 大楽さんとも久々に会って新作や「七人の武器屋(そうそう、ニコニコ静画やamazon kindleで配信が始まってた。電子書籍リンクまとめをいずれ作ります)」や「死ぬ萌え」のことなんかを話しましたが、やはりお互い踏み込んだことはラジオで喋ろうとセーブしている感じです(笑)。なんにしてもあいかわらず元気そうで何より。春頃に自分も新しい単行本を持って、収録の機会を探すとしよう。

1/24 Thu


 おでんが贅沢なフードだと二十歳そこそこの頃までは考えもしませんでした。今は無性にこの上品な出汁とすり身が美味しい。

 ネコー。
 数年掛けて履き潰した靴を夫婦でいくつか破棄したので、新しい靴をまた買って、がしがし街を歩く季節に備えるのです。
 寒さは盛りだけど、日はじわじわと長くなり、時折空気が春っぽい湿った匂いに満ちることがあります。いつの間にか冬は終わってしまうだろう。

「絶体絶命英雄」単行本のページに制作中の模様を載っけはじめました。たまに見てやってもらえれば幸い。

2/1 Fri


 ここのところ「絶体絶命英雄」単行本作業を中心にいくつか平行して仕事があり、てんやわんや……。一個ずつ丁寧に切り崩しつつ、たまに天気の良い日はカフェで超美味しいカレーを食べながら仕事をしたりです。健康な作品を描く時は健康な生活をすると良い案配です。
 不健康な作品を描く時は言うまでもない。もちろん人生そういう時だってあるでしょう。でも今回は、カレーを食べて仕事をすべきだ。そういうかんじの今日この頃です。
 モスで復刻されたマスタードチキンバーガーも美味しかった(自分はこれを食べながら偉大ないくつかの仕事をしました。マスタードと脂の力にちがいない)ので、また食べに行こう。

 日が長くなってきたのを感じます。

2/10 Sun


 水面まであと少し。

2/14 Thu


 新刊「時々の境界線」、只今通販中です。今回からメロンブックスを委託先として増やしたので、地域によっては購入する選択肢が増えたかも知れません。もし実際に見掛けたり、ネットワーキング中に興味が膨らみましたら、よろしくです。
 今日はイベント当日に配布した「あとがきペーパー」画像を公開しました。
 新刊発行の印刷所からのおまけとしてペーパー500枚を付けてもらった物なのだけど、こちらは現在とても余っております(笑)。2013年中の各イベントでがんがん配りまくるつもりなので、もし数度のイベントに渡って複数枚押しつけられてしまうことになった方がいたら、ごめんなさい(いまのうちに謝っておこう)。このペーパーに2013年のざっくりとした活動制作予定が書かれてあります。その通りにできるかどうかはこれからの自分しだいだ。

 仕事の方では先日とうとう「絶体絶命英雄」単行本1巻の入稿が完了しました。長かったー。発売まで若干の間があり、その間自分がやることも少なくはないのだけど、まずは一つ安心です。
 単行本作業の影響で連載最終回更新を一週間ずらしてもらったため、年末から続く長い長い一仕事に、最終回を持ってけりを付けることになります。ほんとに、とても、寂しがっていられません。やるぞー。

2/23 Sat

 バレンタインデー前にはチョコケーキを買ってもらったり……
 バレンタインデーにはアフタヌーンなケーキとお茶をご馳走したり……
 バレンタインデー後にはチョコマーブルケーキ(大好物)を焼いてもらったりと、この時期は、なかなかに心穏やか幸せに過ごすことができました。チョコは年がら年中食べてるけど、街がお祭りじみる季節のイベントごとって、だいたい好きな方です。
 二月と言えば、TRPGを遊んだりも。世界はふたたび「駅前魔法学園!!」。魔法のTRPGです。プレイヤーの一人である奥様が魔法のキャラチップを手作りしてくれたので、当日の臨場感が一気に魔法じみてくれました。魔法のGMである自分はてんやわんやしていたけれど、楽しい席にできて(してもらって)一安心でした。先日公開したサークルペーパーに書いたとおり、このプレイ模様は、夏頃に同人リプレイにまとめたいと思っています。

 そして先日ついに絶体絶命英雄が連載最終回を迎えました。いろいろ広げた設定と展開の風呂敷、しっかり畳むことができたかどうか……。約一年半続いたこの奇妙な少年漫画、読み続けてくれた皆さんに感謝です。読んでもらえなければここまで来ることは絶対にできませんでした。隔週連載はなかなか大変な体験だったけど(現在もまだちょっと大変さが続いている)、苦労以上の価値に溢れた、貴重な経験でした。ありがとうございます。
 この作品についてはまた近いうちに、語る機会もあるはず。単行本とか、単行本特設ページもこれからぞくぞく登場しますよ。二巻以降に繋げるための勝手販促企画も温めていたり……(皆様の応援、超頼りにしております)。

 そして、次回作というか、次の読み切り漫画がごくごく近日にweb公開されます。この場で告知するので、ちょっと注目しててやってください。

2/26 Tue


 先日更新した「絶体絶命英雄」最終回、エピローグ部分は仕上げ不足の状態でアップすることになってしまいました。最後の最後で、不甲斐ない。
 このパートを鉛筆画にすることは当初から想定していたのだけど、実際見て「下描き」とコメントが付くのは仕方がないな−、と思う。
 とても無念で、なにより申し訳ないです。

 現在、鉛筆画をさらに進めて、どこからどう見ても「鉛筆でマンガを描いたんだな」と思われるような画面にするべく加筆修正しまくっています。近日画像の差し替えが行われますので、見返してみて絵が変わったと思われたときは、こういう事情があったのだなーと思って頂けると幸い。

 家で仕事をしていたら、クランペットという名前の卵を使わないイギリス式パンケーキが焼かれました。
 これは! 仕事している場合じゃない!
 ふわふわじゃないパンケーキ。すなわちすげーもちもちしている! マーガリンの塩気だけで無限に食べられる。おいしい。
 焼き菓子自慢サイト、それが辺境紳士社交場。すっかり食べ係と化した自分は、絵を描いて小麦粉とバターと卵代を稼がねばならぬ。

 17時を迎えても空がかなり明るさを保つようになり、街では葉野菜が値を下げてきました。自営業の身は平日真っ昼間でも日常的な光景を見る機会が多く、いろいろな側面から春が忍び寄っていることを感じることができます。春用のスニーカーを一足新調しました。関東は間もなく暖かくなるだろう。

2/27 Wed


 「絶体絶命英雄」が完結したのとほぼ同じタイミングで、新しいマンガがこの広大なwebの中に掲載されました。英雄の次は「ヒロインの話」にしようということで、掲載誌は、美少女たくさんのweb漫画雑誌「電撃G'sコミック」vol.5(ブラウザだけで無料で読めるよ)。
 タイトルは「ヒロイン・ヘイト・ヒロイン」、ジャンルは聞き覚えのないアンチヒロインコメディ。ヒロイン嫌いなヒロインと、ヒロイン大好き変な猫のお話です。ヒロイン描きすぎてよく分かんなくなってる漫画です(のべ100人くらい描いた気がする)。

[BOOK WALKER版]
[ニコニコ静画版]
[pixivコミック版]

……変なギャグ漫画になりました。お気楽に読んでやってね。

3/3 Sun


 九州から高町ぐずりさんが来られるというので、吉祥寺にお誘いして、彼の同人誌「ボードゲームをはじめよう」が置かれているショップ「METEOR」へみんなで行こうという日曜日だったのでした。吉祥寺駅に程近いとんがったビルの二階にその店はあった。

 率直に言うとこの店、想像をはるかに超えて面白すぎた。
 二畳くらいしかないような売り場はファミコン、バーチャルボーイ、同人誌、見たこともないCD、素敵なデザインのカードゲームやボードゲーム、ゲーセン筐体のボタン、緑色のマリオ人形、その他もろもろが積み重なっており……
 大人が趣味と努力で築き上げた趣味部屋のような――実際そうかもしれない――夢みたいなお店だったのです。
 雑貨屋というかゲーム屋というか本屋というか……ここは一体、なんだろう?
 店内には小さいブラウン管のテレビがあり、そこに繋がれた新型ファミコンでいつでもゲームを遊ぶことができます。ぐずりさんは初めて「スパルタンX」を遊んだそうです(彼は自分より二回りほど若い)。

 まさか妻がバーチャルボーイを遊んでるところを目にすることになるとは、人生ほんとに、何があるのかわかりません。
 しかもこれたぶん、ゲームショップ用の体験用筐体じゃん! これだけで店内面積が一割占有されてるよ! どんな店なんだ!
 バーチャルボーイって、今の世の中、こんなにも「他者と楽しさを共有しない」コンセプトのゲームが存在するのかって、見ていて感動を覚えます(これは冗談でもなんでもなく)。スコープ周辺のフードのおかげで、外界の視覚情報は一切シャットアウトされるんですよ。このプレイスタイル、マジで未来的。しかも画面が赤一色! サイバーパンクすぎる!

 店の片隅にジョイパッド付きのディスプレイがあり、これはなんだろうと首を捻ってたら、店長さんが「光速船ってご存じですか?」と電源を入れてくれました。
 光速船? …………光速船って!!
 レトロゲームの歴史の中で、名前だけ聞いたことがある!!
 これは、すげえ!!
 この店は、実機で、遊べる状態で、光速船を置いてる!!!
 ブラウン管に直接光を描写する(という認識で合ってるかな)描画形態によるゲームで、すべてのグラフィックは「発光する線」で表現されています。1983年頃のゲームだそうです。しかし、2013年現在、これよりも綺麗な「光」を描き出すゲーム機って、存在しないんじゃないかと思います。本当に綺麗(この写真じゃ全然再現できてない)。画面の中に花火が瞬いているような鮮烈な光と宇宙。ほんとにまったく思いがけなく、凄い体験しました。来て良かったなあ……。

 そんなわけで、その時店内にいた三人の客(すなわち我々)に気さくにコーヒーを振る舞ってくれた店長さんは、秘蔵のコレクション(……商品じゃないよな)を引っ張り出して、ゲームミュージックカセットやフロッピーによる紳士メンズゲームの歴史やチップチューンやボードゲームや、ディープでホビィな話をしてくれたのでした。話題の全てが世代的に合致していたこともあり、本当に、楽しかった。ありがとうございます(またなんか愉快なものを買いに行きます)。
 それはそうと、この店内において大概の話にナチュラルに体験談を添えてのけた奥様を見ながら、自分は密かに、この人とは結婚するべくして結婚したのだなあと思ったのでした。「ファミコンなんてなかったよ、MSXで遊んだ」って言う二十代がこの世にはいるみたい。

 夢のような店を出て現実に戻った我々は、同じ通りにある「ピコピコカフェ」に入店したのでした。ドットが可愛い看板を目印に、雑居ビルの7階までエレベータで。……そこからさらに、アニメに出てきそうな非現実的な階段を登って8階へ。本当にここは現代日本でしょうか。
 そこには下界を見下ろすような、穏やかな、くつろげるロッジのような空間がふわりと広がっていたのでした。

 店内は座り心地の良い椅子と趣味の良いテーブル、そしてかたわらにはSFCと「スーパーマリオワールド」が。……なんだ、ここは……。

 もちろんマリオを遊んだり(マイワイフ超上手い)、ぐずりさんから前日あった山手線圏内ドロケイの話を聞きつつ……実はこのとき時間がほとんど無く、お茶とケーキを頂いたらすぐお店を後にしてしまったのですが、非常に居心地が良くて長居したくなる、素敵なカフェでした(月・火・水はお休み。公式サイトによるとゲーム開発会社の事務所も兼ねた場所だそうで、絵を描いたりコーディングしたり、大きい机でボードゲームをしても良い、とのことです)。
 コーヒーもケーキ(おおきい!)もとても美味しかった。
 行きつけのカフェが無くなってしまったり、しばらく寂しかった自分にとっての吉祥寺でしたが、今回はずいぶん新しい発見がありました。また今度平日に、ネタ帳でも持って、ゆっくり座りに行こう。

3/7 Thu


 見本誌が来たー! カバーから本文の芯までずっと制作に関わってきた本なので、本ができた実感は、いつもとはちょっと質が違います。「とうとう、自分が思ってたものができたか」というかんじ。本当にこれは、同人誌とおなじ感覚ですね。
 あと、思ったよりも重くてちょっとびっくり。オビもPP加工されていたり、白い紙で見返し製本がされていたり(マンガ本ではあんまりこういうのないよね?)、なんだかいろんな意味で見慣れない感じの冊子になりました。嬉しいな。


 そんな「絶体絶命英雄」単行本紹介ページが先日リニューアルされました。
 新サイトの企画・構成・制作実装は、長く本作のアシスタントをこなし、誰よりも近距離で「絶体絶命英雄」を知る神無宇宙さんによる仕事。
 手触り感と考え抜かれたランダム感が非常に「らしく」て素敵です。
 何回も改めて感謝してるけど、いくらしてもしきれない。改めて感謝します。
 本人による「[絶体絶命英雄 on the comic]のサイトを作ったよ、の記録」は、2013年現在の技術でタグ手打ちの個人的イラストサイトを"お手軽でなく、じっくり"作った記録として、とても貴重だと思う。「個人サイト」という文化を知っている人、知らない人、それぞれ興味深い内容になってます。ぜひ。

3/9 Sat


 めでたい! 「絶体絶命英雄」発売日!
「どこの本屋でも買える」ものではないみたいで、発売日には買った/買えなかったという両極端のツイートが飛び交っている一日でありました。自分は幸い、近くの書店で2冊縦差しされているのを目にしてます。
 サブカルに長じた地域最強の本屋さんである、ここですら(開店直後から激烈に売れたのでない限り)2冊か……。
 初刷りx部・立ち上げたばかりのレーベルでは仕方がないかな−。これを立派に平積みできるかどうかは、これからに掛かってます。

 この一ヶ月くらい宣伝色が強まっていた自分のウェブ活動は、発売日で沈静化するどころかある意味ここからが本番です。謎のオープンマーケティング企画絶体絶命販促も始まりました。この様子は現在自分がtogetterにまとめてますので、たまーに覗くと楽しいかもです。
"商売色"はなにかと煩く見えるものだけど、できれば、この本に関係する作者読者関係者・全員にとって「本を買って読んでだべる」ことがまるごとひっくるめての良い読書体験になれば幸せだよね、と思います。そんな感じの販促フェスティバルにしたいなー。

 一方で周囲は一気に春めき、予想もしていなかったような、次の面白そうなことのメールが入ってきました。
 これは本当に面白そうなので、じっくり検討したい。


3/10 Sun


 サイトを構築してくれた凄腕の奥様が、単行本記念ということでカレーを作ってくれました。ロールキャベツ&ネイヴカレー。

 リスを描いた。

 暖かすぎる一日に港に行って販促写真を撮ったのでした(販促の何の役に立つかは自分も知らない)。読めばカラテが強くなります。

 実家のわんこ(17歳。そろそろ尻尾が二本に増えて犬又になりそうだけど元気)も、今回の単行本に喜んでいるそうです。
 あるいはあまり美味しそうな匂いがしないそうです。また撫でに行こう。

3/11 Mon


 ちょうど二年前に撮った空。肌寒く、夕暮れが近付いていた。

 二年前、本震の時に自分は自宅を離れた20分ほどの距離を徒歩で、温かいデミタスを飲みながら散歩していた。最初の揺れが終わった後、コーヒーを飲み干して自宅に走り、幸い家財に被害が無かったことを確認して、たしか部屋中のブレーカーを落とした後、何故かカメラをひっつかんで街中を走り回った。まだ寒く、冬用のコートを羽織っていた。空は雲と青が半々。都心に仕事に出ている奥さんとは連絡が取れず、twitterだけが連絡可能な手段だと気付くまでに5時間ほどを要した。その間、自転車で彼女を迎えに行こうか何度も迷い、漕ぎ出した自転車を10分後に止めることにした。状況が落ち着くまで下手に動かない方が良いと判断した。海に近いこの立地には津波警報が実質的な脅威を持って、とても恐ろしげに聞こえた。その日は高台にある深夜営業のファミレスに午前2時まで篭もり……食材が無くなったという理由でフライドポテトしか頼めなかった……津波はもうないだろう、と思い帰宅した。この時点で警報は解除されていなかった。携帯の電池が今にも切れそうだった。そのまま自宅に帰り、テレビを灯したまま一人で横になった(奥さんはこの時無理に帰宅せず、会社に一晩泊まっていた)。テレビ越しに何度も警報が鳴り、浅い眠りは何度も途切れた。

 これが震災当日の自分の行動で、覚えておくべき、と今も思う。同じことがあれば恐らく、自分はまた同じ動きをするだろう。

 二日後、奥さんが「ちゃんと生活をしよう」と宣言して、美味しいハンバーグを作ってくれた。六日後には「食パンがないなら焼こう」とパンも焼いてくれて、これもまたとても美味しかった(この時の丸パンは自分の大好物になり、奥さんは節目節目で焼いてくれるようになった)。

 この時自分は、漫画の仕事の真っ最中だった。計画停電に巻き込まれ、PC仕事が出来なかった自分は、秋葉原の「秋葉原製作所」に向かい、原稿作業をすることにした。街はまだ非日常にうわついていた。高額の懐中電灯と高額の単一電池が積み重なった秋葉原の裏道は、まるで闇市のようだった。一店舗だけだったけど。自分はそれを横目に、まるで映画館から出た直後のようなうわついた気分を抱えていた。

 ここで描いた「スオミさんと田舎町」の短編は、つまり、震災の境目にある制作だった。だからこの作品がどうだこうだってことは全く無い。写真を見返したら、そういやこの頃に描いたっけな、と思いだしたくらい。そろそろこの短編もwebで公開できるかなーと思う。

「絶体絶命英雄」、各書店とネット書店の一部では品切れが発生している模様。買って頂いた皆さん、ありがとうございます! 買えなかった皆さん、すみません!
 この品薄状態は一時的なもので(作者としては、ほらみろー、と威張りたかったけどそれどころではない)、数日内に解消されるものと思われます。一度のんびり待つか、書店で注文してのんびり待つなどして頂けるととても幸い。個人的にはこの本、本屋さん購入推奨マンガなのです。

3/13 Wed


「絶体絶命英雄」カバーイラストを考えていた時のネタ帳。文字の置き方も数パターン考えていました。やっぱり「1」の数字があった方が格好良かったよなー、と思う。

 こっぴどい風に翻弄されながら今日は書店さん周りをして、「場所によってはちゃんと売れている」「手付かずなところもある」「あんまり入っていないところもあれば、たくさん目を付けて入荷してくださってるところもある」……などなど、売り場の状況というのをたくさん目にしてきました(その上でPOPを渡してきたりもしたので、運が良ければ今後店頭でPOPが見られるかも)。売り場というのは買う人にとってのリアルな環境で、これを見る事ができるだけでも、作り手にとって大きな経験値が入ります。
 ほとんどのものはそうなのだろうけど、「『絶体絶命英雄』って作品と、今野隼史って作者はぜんぜん知られていない」ということを改めて実感できたのが、今日一番の個人的な収穫でした。まずはそれを前提にして、知られることから始めよう、と思います。さてなにができるか……。

3/14 Thu


 二年間毎日酷使しまくったせいか(筆圧の高いマンガを一年半描いたせいかも)、intupos4のペンの調子がどことなく悪い。
「ごくたまに筆圧が抜けきらない」「たまに筆圧を強くしないとクリックにならない」など……設定をいじってもいまいち回復しなかったので、替えペンを購入してみると、幸い不具合が無くなりました。先代(無印intuos)のペンは一本で四年くらい保ったので、もうちょい頑張ってほしかったのだけど、仕方がないな−。
 intuos5とペンが同じものが使えるらしく、今買えるペンは型番がちょっと違う……のだろうか? ペンホルダーが艶消し黒(ラバーではなくプラスチックそのものにサンド加工されてる)になってて、それとなくいいかんじ。がんがん描きまくろう−。

 大楽さんのブログやむきりょくかん。などなど、馴染みのところでも「絶体絶命英雄」買ってくれたって声が聞こえてきて、発売五日目の今でもまだまだ作者にとって嬉しいことが続いてます(個人的な経験では大楽さんに"熱血"って評されたのって、ほんとにまれだ)。ありがたい。ほんと次に続けて、さらに良い本作っていきたいなあ、と思います。

[絶体絶命英雄単行本の購入について 3/14]

ここんとこamazonでも買いにくい単行本でおなじみ「絶体絶命英雄」、ここだけの話(ひそひそ……)、現在出版社に在庫がないらしく(全ての本が実店舗に配本され切った?)今もっとも確実な入手手段は「書店で注文する」ことみたいです。そうすれば取次のネットワークを経由して本が移動するとのこと。少しスローだけど、2013年にあえてのんびり「取り寄せ」するってのも楽しいかもですよー。


3/18 Mon



 えぐくて、露骨で、罪悪感をもって道を切り拓くしかない、作り込まれた、救いのないホラーゲーム。個人的に2000年代初頭のRPGツクール・フリーゲーム文化(超とんがってるゲームが多かった)を思い出す作品でした。人を選び、選んだ上でもなお「いい話だったなー」とにこにこできる類の物語ではないけれど、ホラーゲーム好きな方は自らの手と足で、このおぞましい家を探索されるのも良いかと思います。短編だというのも濃厚で良かった。
 そして今は「おっかなくてプレイできないけど見たい」という人のために、「実況プレイ動画」という自然発生的な文化があるというのも、個人的には良いなと感じます。自分はちっちゃい頃、兄が遊んでるゲームを横から見てて、それだって十分「ゲーム体験」だったと思うのだよね。自ら遊ぶゲームがやはり一番鮮烈で面白い体験だと思うけど、追体験だってなかなかのものなんです。きっと。

[絶体絶命英雄単行本の購入について 3/18]

絶体絶命英雄」、ようやっとamazonの取り扱い在庫が復活したみたいです。他のネット通販系もわずかに回復傾向にあるかな? やっぱり依然として「書店取り寄せ」が強い経路ですが、書店が近くにない方は、通販に頼ってみるのもベターかも。よろしくです。


3/21 Thu


 朝は日テレ「スッキリ!」を見てるので、次世代スッキりす(占いコーナーのリス。プロダクションI.G.の名前が付いている)募集という企画を知ったら、そりゃ一枚本気に考えて描いて郵送したりしますよね。20/1800のふるいを前に落選したりしますよね。構わない……俺は初代スッキりすが好きだから、いいのさ。

 マスコット動物キャラクター、自分はかつて、うろ覚えでピカチュウをらくがきしたら周囲から「目が腐っている」「毒吐きそう」とさんざんな評価を受けたことがある男です。
 周囲の期待する「かわいさ」を知って、その期待に添いながら、期待をすこし上回るものを描くのが、今の時代にマスコットを描くことだと思います。描き手の個性、クセはむしろ、この領域では強く発揮しない方が良いのかも。


3/23 Sat

 都心で桜満開? 早い! 
 近所はさいわい満開まで少し時間が掛かりそうなので、そこそこすいてる平日を狙って観に行きたいと思います。大判焼きとか、買おうかどうかまごまごして結局買わないとかするのだ。

 自分が背景ドット打ちでお手伝いしたライトノベル「勇者リンの冒険」1巻素材のラフ。まずなによりも自分自身のためのラフで、紙に描いたこのメモがなければ、ゼロからドット絵を描くことなど不可能なのだ。
 最近2巻のためにドットを打ったので、また趣の違う表紙がこの春に出てくるはず。

 絶体絶命販促のtogetter、編集の仕方にだんだん慣れてきました。二日に一度は自分の手により更新されているので、一度買って読んだって方もちょくちょく見返すと面白いかも。先日はHUMMING LIFE日向そらさんにより最長販促記録が更新されました(大阪←→秋田)。なんちゅうかもう、みんなすごいな!
 販促企画はあと半月ほど開催されます。「途中結果発表」も企画していたりしてなかったり、まだ息を抜くには、ちょっと早い。
3/26 Tue


 
3/27 Wed

 次の仕事や次の次の仕事が決まったり、「何を描こうかなぁ」って想像が楽しい局面に入ってきました。今年は馴染みの軸足であるイラストの仕事に多めに関わることができそうで、嬉しい。
 漫画はとても良い仕事で、経験も積まれるけれど、短期間に・たくさん絵を描くだけだと僅かずつ絵は下手になってきてしまいます(自分の中では)。今年はなるべく、ゆっくり描くようしたい。


 去年よりずいぶん早く桜が咲いたので、慌てて花見に行きました。慌てたのが自分達だけだったのか、いつになく桜の名所が穏やかです。犬と春休みの子供達がのんびり歩いている。

 うっすら青空、曇り空、ほとんど花霞という風情。

 いつもある屋台群。これを見ると大判焼きが食べたくなる。
 奥様が滅茶苦茶美味しい三種のサンドイッチを作ってくれたので、お茶と一緒に食べる。去年と全く同じコースで、なんとも幸せ。花見だー。

 青空の下で見るソメイヨシノははっきり白いのだけど、曇り空だと薄紅が見えやすくなる気がします。

 一言も発しない無愛想な店員の爺さんに120円を渡すと、保温されまくってぱさぱさになった大判焼きをぞんざいに渡されて、かじってみたところ、口中の水分は失われカスタードクリームは味がしなかったという、いたくワンダーな大判焼きだったのです。アメイジング! ワダアメイジングワールド! ガッデム!
「おいしいものは二人で食べて分かち合い、まずいものは一人で食べて苦笑するというのが人生良いバランスだと思う」(当日のtwitterより)
 まあ、隣の奥さんは笑ってくれたので、元は取れたか……。

 しかしやはり不味い大判焼きを許すことはできず、帰りに美味しい鯛焼きを買ってこの日の買い食い評価値をプラスにしたのでした。

3/28 Thu


 あれやこれやを作画中(仕事が溜まってきたらGallery更新しなきゃだ)

3/29 Fri


 web漫画雑誌「電撃G'sコミック」3/27号の中で、読み切り漫画「ヒロイン・ヘイト・ヒロイン」掲載中です。先月掲載されたものと同一の内容なのですが、さいわい掲載延長してもらえることになりました。
 前回から違う点は、ニコニコ静画版でコメント機能が解禁されたこと!
 作者ではどうしようもない理由により先月掲載分はコメントが付けられなかったのですが、今回からはがやがやつっこみながら漫画が見られるようになりました。そう言う見方がお似合いの「絶体絶命英雄」に通じるところがある……かもしれない……おきらくコメディ短編です。一度見た方も初めて見る方も、よかったら思うところをコメントにして打ち込んでみてね。コメントが応援となり反響となり、ひょっとしたら次回作として連載化したり……するかも?




NEXT
[ 2013/4 ]