2011/10〜12


10/1 Sun

・七月からずっと「絶体絶命英雄」モードだった看板絵を更新。画像リンクから飛べるhtmlにはでっかいサイズの原画を載せているのが通例なのですが、そのベースサイズを今回から一回りでかくしてみました。人聞きなんだけど、今の時代、ディスプレイサイズ1024*768って解像度は少数派になって久しいらしいので……。
 スマートフォンなど携帯端末で見る場合、オーバーサイズの画像って自動的に縮小掛けてくれるのかな? なんにしても余計なお手間を取らせることになったら、申し訳ない。本サイト自体は相変わらず幅800pxベースで組み立てております(なんと今時珍しい、html素組みのサイトです:もはや伝統芸能(奥様んとこもそう))。

・先週は秋葉原に行って、自分の夏の新刊が同人ショップの中でどうなってるのか見に行ったりした(結果、秋葉原とらのあなでは店頭在庫完売を確認/ZINの方ではまだ平積みして頂いています)ついでに、「著作権フリー素材集 Free Materials テクスチャー Vol.05岩石/樹木/錆/汚れ」(STARWAKER STUDIO)を入手してきました。
 石肌系のテクスチャは自分も(ドイツ旅行を利用して)多量に撮影してストックしてはいたのですが、個人的な基準だけではカバーが弱い分野が絶対どこかにあるだろうと思い、使用規約に極めて自由度があるこの素材集をチョイスしたのです。収集整理に必要なエネルギーを考えると、1500円はきっと破格だ。予想通り「こりゃ撮ったことないや」なテクスチャがてんこ盛りだったので、いずれちょくちょく、使ってみようと画策してます。

10/6 Thu

 右手が理由もなく痛んでちょっとペンを握るのが難しくなり、静養。経験上、理由のない痛みは理由もなく消える。じわじわ回復してるみたいなので、ローギアで仕事を再開させていこう。

 静養している間ずっとスティーブ・ジョブズの話をネットで見ながら、あれこれ感じたり考えたり。自分自身が思ってたより、この訃報はショックだ。apple製品はたったひとつ、このサイト最初の日記に書いてるipod miniしか持っていなかったはずなのに。
 人間誰でも遠からず死ぬし、そこで仕事は終わる。終わるんだけど……。
 自分がこのことに何か言うことはとてもできず、ただ、今でも「macをいつか買おう」って考えているのだ。
 iPhone4Sもひょっとしたら買うかも。auでするするっと買うか、あえて家族内ネットワークをぶった切ってsoftbankに漕ぎ出すべきか。何にしても道具は使いこなしてこそで、それでなにをすべきか自覚しておかんと、人生がもったいないぞ。


 黒く鈍い鉄のノブを手前に引けばぱらぱらと塗装の欠片を剥離させつつ木戸がぎいと一声鳴き声を上げて、黒々とした口が白い漆喰の壁に開いた。
「…………なにこれ」今更だな、と思いながらもマコは呟く。
 この戸口はおかしい。なにか分からないけど、背中の産毛がざざと逆立つのを予感する。
 背中には窓越しの焼け付く太陽。もう春は遠く、外気はとっくに肌を黒くするくらいだろう。蒸れるのを嫌って一月前に夏服を調達したのだが、半袖から覗く手袋の腕が一気に鳥肌立つ気がした。気どころではなく、はっきり冷気が洩れている。
「食料庫かな」ここは一階だ。降りる石階段が見える。
 視線を引き剥がして回廊の奥を見る。天井の高い、走り回れそうな少し広い空間。壁には外に出る頑丈な両開きの木扉が設えてあり、その辺りの埃の堆積に(この館のどこもかしこも、乾ききった土と、赤い絨毯からちぎれ飛んだ綿埃でいっぱいだ)真新しい靴跡が無秩序にスタンプされているのが見える。
 その足跡は回廊の奥の方へと続き、ぐるりと屋敷の輪郭をなぞってから、今自分の足の下まで続いているのだ。
「ついに一周しちゃったよ」マコはわざとらしく呟いてみせて、無意識をねじ伏せた。
 首をぐいと壁の穴に向け直して、(しょうがないじゃない、望み薄でも、行けるところがあるなら、行くしかさ……)いよいよ体をかがめて薄ら寒い階段を下り始めた。
 最初の足音が鳴る。
 足音が頭上20センチの石に反響してどこまでも地下深く潜り込んでいく。深度を増すたびに暗く、くぐもっていく、石の階段と靴底の擦過音。それを遅れて聞く、自分一人しかいないこの世界。
「辛気くさい職場だね」
 うんざりと眉根を一秒だけ寄せて、マコは足を落とす頻度を少しだけ早める。
Shrodinger folks



10/12 Wed

 心地よい天気だなー。まもなくハロウィンや次のコミティアや結婚式や、イベントが目白押しでとても楽しみ。うまいもの食べて乗り切ろう。

二週間お休みいただいてた「絶体絶命英雄」、三番目のエピソードとなる「絶体絶命友情」編が始まりました。今回からまたちょっとシリアスなお話になりますが、そんな中でも細かいところで笑いを取りに行けたら素晴らしい世界になるに違いない。よろしくです。


10/13 Thu
ヘビィ・ローテーション
 あ、これは面白いに違いない、という直感のもとに珍しく発売日早々に買ってきたJUST DANCE wiiが、予想通り面白かったというか何というか、AKB48はこれを平然と踊ってのけるのか、とアイドルの凄まじさを初日にして思い知ることができたゲームでした。
 画面を凝視しながらあたふたてきとうに踊ってもいくつか動きが評価されたり、二回目に踊ったときは自分の体がほんの少し正確に動き出すのが分かったり、なかなか楽しい(羞恥心は最初に忘れとくのが楽しむコツです)。あと半端無く汗をかくので、大人のプレイヤーなら負けず嫌いで上達する頃にはきっと体力が付くことでしょう。加えて部屋を片付けないと物理的に遊べないゲームなので、掃除機を買う前にこのゲームを買う価値はあります。
 正しいパーティーゲームだと思う。

 書くのを忘れていた。右手はすっかり完治して平常営業を始めておりますので、ご心配なく。ゲームしたり仕事したりめしくったりするぞー。


10/16 Sun


 ちょっと嵐になっては空に浮かぶ雲がえらい高くなったり、秋だ。実家からイクラが届いて大層美味しく食べたりもしました。秋はいい。このシーズンの土鍋はすでに使われ始めているけど、本格稼働するのは間もなく、という感じ。食材を買うために働こう。
 rwitterで文字書きを進めてみるとなんか独特の感触です。十回ツイートして「1200文字書いたぜ……」と満足したり、小学校のドリルをやってる気分。毎回の出力は136字以内に圧縮せざるを得ないので、一連のテキストファイルにまとめる際には、ふえるわかめちゃんにお湯を掛けるようなことをしてます。


 夏場でも一定の低温を保つために地下深くに造られる食料庫、マコにとってはいつでも馴染みの薄い一角だった。足先の感触が連想させるのは食料庫と厨房を直結する狭い階段、料理をホールに運ぶための薄暗く油染みた石畳の通用廊下、そこを一日中ひっきりなしに往来するのは揃いも揃って気難しい厨房の住人達。  彼女達(だいたいが素晴らしい全幅を持つ女中だ)の縄張りをちょっとした油断で横切ると、結構な頻度で肩鎧とパイ皿がぶつかるものだった。丁度高さが合っていたのだ。
「殺すぞ!」と言われはしなかったけど、ひっくり返ったミートパイの湯気ごしに殺気たっぷりの眼差しを向けられるのはそこでしかできない特別な体験だったのだろう。特別な体験によくあることだが、二度と無いと思っていると数度繰り返し、特別なレッテルはありふれたものに張り替えられる。四回目で実際マコは殺されかけた。
 追憶の中にある喧噪はなんとも思い出たっぷりのボリュームで、今踏み下ろす足音の一つ一つごとに記憶から引きずり出されたネガティブな光景がほどよい混合比で出力されたマコの表情は――これは一時間前からたいして変わらない調子で――「どこを見てもうんざりだよ」とにかく、明るいものではなかった。
 かつん。
 ……階段の突き当たり。
 背中の斜め上からほんの僅かに滲み混んできた薄緑色の昼明かりも、いよいよ三歩先を境界線として完全に失われている。数年間かき回されていないような冷え切った空間は、狭い階段をそのまま狭い廊下に変えてどこともしれない直線方向へ伸びていた。
 マコは腰に下げた旅用の鞄から照明を取り出し、闇の不吉さに内心が無駄に焦るのをかみ殺しながら、右の親指で金色の着火レバーを押し込んだ。がちり、機構内の火石がこすれて火花を上げる。その一瞬に、廊下の奥が鈍い光点を返してきた。
「ん?」金具かなにか、
「扉かな……」
(よかった、わりと短い廊下だった)ほっと呼吸する勢いで、ようやく油芯に火が点る。
 橙色の炎がガラスフード越しに歪んだ光を発散させて、いやに遅い木霊のように墨色の石肌を視界に飛び込ませてきた。胸の高さに掲げた安物のランプとは対照的に、廊下の作りは上等だ。まるで貴族の生活空間のように、平滑に磨かれている壁と床。
(やっぱ、屋敷自体は依頼票が言ってるとおりだ)
 食料庫を連想した勘は、いまいちな違和感を引きずりながら、気軽に取り替えられる答も見つからず、5メートルの廊下の突き当たりで途切れた。二歩前で立ち止まり、マコは壁面を見つめる。緑に塗られた両開きの鉄扉が行く手を遮っている。閂止めが縄で縛られている。
「縄?」
 怪訝な声が漏れた。
 悪い想像に躊躇ったのはむしろ一瞬だった。ランプを左手に持ち替えて、左腰から伸びる革巻きのグリップを小指で握り、鋼と差し油が擦れる音を石壁に跳ね回らせつつ、抜剣。剣を保持する右半身を立ち足ごと軽く退き、その一瞬に刀身の光沢が激しい階差を付けて目に緑色の残像を残す。
 目を瞑らずに前を見たまま、
「やっ」
 落とした重心は一瞬に、最小限の動きで剣先を撫で突く。安い剣だが手入れの頻度が功を奏して、一撃で閂代わりの縄は落ち、「うひゃっ!?」勝手に鉄扉が手前に開きだしてマコはこの場に及んで飛び跳ねた。
 一段と濃い冷気に腕の鳥肌を起こしつつも、「…………」扉、闇の奥を見据える。
Shrodinger folks



10/20 Thu

 エアブラシの練習など兼ねつつ。
 豚汁が大層美味しい一日でした(大好物)。味噌はいいねえ。

10/23 Sun
なれそめマンガ最終コマのラフ(完成版とは表情がちょっと違うので、これはこれで気に入ってる)


 吉村麻之さん、眼鏡御大さん、結婚おめでとう。


 友人として式に参加してきました。素晴らしかったなぁ。感慨無量です。それは彼らのなれそめを自分が四ページの漫画に描いた(ものを式次第の冊子に収録して、参列者に配られた)からだ、というだけではありません。これまでの時間を思うと、なんかもう……なんというか、もうなんも言えん。
 本当に良かった。
 幸せになるにはどうあるべきかを、吉村さんって人は人生掛けて良く心得ていると思うのだけど、どうか今後の二人が一段と幸せになるように、自分も祈っております。食い過ぎないようにね(笑)。
 

10/27 Thu
どんな壁紙からも浮くサイケデリックイラスト(お気に入り)

 日曜にビックサイトで開催されている創作系同人誌即売会コミティア、ち-09a「辺境紳士社交場」出展してます。よろしくお願いします〜。(本日の主題)

 新刊のないうちのサークルが今回何を持って行こうか考えた10秒後、突発的に下りてきた「そうだ! ポスターだ! ポスターを作って持って行くんだ!」という悪魔的天啓により、作ってしまいましたよ。シンメトリカルゲイザーカバーイラストのB3ポスター(全年齢)!
 何故ポスター!!!
 作った理由はともかく、物自体は、専門業者の仕事による高精細印刷(FM印刷ではないけれど、印刷の網点がほとんど見えなかった。冊子版表紙より一段綺麗です)・耐紫外線(実際どのくらい耐えるかは不明だけど、日光に強いインクがあるそうなのでそのオプションを使ってみた)の、「ちょっと良い品質」のものです。
 気が向いたら、壁に貼ったりしてみても、いいかもね?
 値段は一枚300円、加えて、当日はポスター運搬用の筒を一本200円で販売しております(限定20本)。ポスターの価格設定の基準がさっぱり分からなくて困ったあげく、こんなもんかな、と思って付けた300円です。高いのか安いのか?
 あと、筒って高いね……。もしもポスター用の筒をお持ちの方がいらっしゃったら、それを持ってポスター単品を買いに来ると地球に優しくて良い案配かもしれません。

 他にはシンメトリカルゲイザー原画ファイル(こっちは閲覧18禁なので、注意)、全年齢の既刊いくつか、楽しい「みずはらさん」1〜3巻をちょっとだけ、あとは五月個展であまった作品目録の方を「ご自由にお持ちください」モードで大量に持って行きます。お近くお立ち寄りの際は、もらってってやってください。


「ひなた」カバーデザインラフ

 そうそう、忘れちゃいけない、当日はHUMMING LIFEさんの「ひなた」を委託販売させていただきます! 自分が今夏ジャケットイラストを描かせていただいたボーカル・シングルCDで、秋も似合う優しい収録楽曲は自分からもおすすめ(作品ページで試聴ができますよ)。良いCDです。ぜひ、直接、手に取ってみてください。


文字列は2*40mmくらい

 接写ッ!
 ポスターに文字は要るか要らないか、という命題は自分はたまに思い出してはその都度頭を捻っていたのですが(一般的、いわゆる「日本でふつーに売ってる」ポスターは、チープな文字配置にイラストが殺されてるケースが無尽蔵にあると思う。それくらいなら入れない方がずっと良い)、今回はイラスト主体のアイテムということで文字は極限まで抑えめに。四隅のピン留めで潰れる一を避けて、ごく小さくタイトルを入れる程度のバランスにしてみました。それでもやっぱり悩む、
 そもそも、入れるべきかべきでないか。上手く行ってるかなあ……。

 ちっちゃな話題ですが、今回の新刊からメロンブックスDLで"電子書籍版"の販売を始めてみました。
「画質は200dpiに軽量化」
「プロテクトを掛けない扱いやすいPDF形式(印刷や画像の抜きだし、コピーOK)」
「冊子版の7割くらいの値段」
 ……を基本に、これから地味なペースでラインナップを増やしていこうと思います。ショップへのリンクを同人誌infomationに載っけてますので、電子メディアの方が良いって場合は(本は重いからね)、そちらを見てやっていただけたら幸い。買ったものはスマフォでも見れるそうですよ(こういうのわくわくする)。


10/29 Sat
MOO

 明日のコミティア、奥さんこと神無宇宙さんと−30a「ばんそうこう。」に出展します。
 彼女の新刊が沢山人手にわたると我が家の在庫の段ボールが少なくなるので、よろしくおねがいします……と言いたいわけではなく。

「空の布の穴の魔女」と題付けられたチャーミングな絵本を描いてるので(自分は原本を見せてもらいました)、自分からもお勧めしたいのです。コミティアと秋の気候がとても似合う、可愛くて面白い本です。社交場からはちょっと離れた位置にあるので、周辺をぶらぶら回るついでに、是非遊びに行ってみてください。

 当日の注意メモを書くのを忘れていました。コミティアでの辺境紳士社交場は、「一人店員のため"スケブ"は受け付けられません」「"生もの"の食べ物を持ち込まないように注意(まだまだ日中の気温が高いです)」「サークル前での待ち合わせはご遠慮ください」ですので、よろしくおねがいいたします。お待ちしておりますー。
 

11/1 Tue[Gallery:Infomation paper vol.9]


 10/30のコミティア、参加してきました。丁度いい天気、まったりペースで座れて良かったなー。
 ご来訪頂いた皆様、ありがとうございました!(新刊が無くて申し訳ない)
 この日配ってたペーパーで年末に作る本の予告をしてます。
 そう、辺境紳士社交場にもついに冬コミ当確のお知らせが届いたので、自分もうかうかとしていられません。地獄の釜が開いたのだ。新しい本を作らねば。

 突発的に作ったポスターは思ったよりも手に取って貰えて、ほっとしました。このポスターは単価を抑えるために沢山作りまくっていたので、在庫がまだまだ80枚くらいあります(余部として20枚くらい梱包されないポスターも同封されていたのだけど、こっちは細かい折れ傷が付いてて、どう扱うかは判断保留中)。この在庫、現在とらのあな委託通販で取り扱って頂けるように手配を行っています。通販窓口が開きましたらサイトでお知らせしますので、もしも気にして頂いていましたら、ちょっとだけお待ちください。とらのあなに問い合わせたところ、ちゃんとポスター運搬用の筒に入れて発送してくれるそうです。

 今回のコミティアで「みそら No dog runs without biscuits」手持ち在庫が完売しました。あとはショップ委託している分を残すだけとなります。並べてて安心感のある本だったな。
 

11/10 Thu


 自分はほぼ日手帳を長いこと使ってて、たまーにらくがきもします。ほぼ日手帳に差すペンと言えばハイテックcoletoの二色用軸しかないという個人的な結論に至りました。がんがんインクが減るのにリフィルが高いのが唯一の難点。

 冬の小説本について。

・本文級数の着地点を考えてる。13Qか12Qか? 手持ちを比較すると、実は今は、講談社文庫よりファンタジア文庫の方が一回り文字が小さい(講談社の方は数年前「字がでかくなったなあ」と意識できるくらいフォーマットが変わった)。このへん案外「若年層は目が良いから」みたいな簡単な理由かも。

・級数について調べてたら2006年頃の同人小説BBSがあって、「文字がすかすかだと言われて買ってもらえなかった」というやり取りにカルチャーショックを覚えた。実際は文章自体の問題だとは思うけど、まさか、密度で買う人がいるのか……。
(twitter memo)

 本文組みの奥が深いのは端っこだけ知っているので、考えるだけで背筋が伸びる。幸い手元にはIndesignCS2があるので、これでどこまで行けるか手探りでやってみよう(近くの本屋にはCS3以降の教本しかなかったのでどうしたもんか、当時ちゃんとテキストを買っときゃ良かったなあ)。


11/12 Sat
ドット絵にもラフはいる

 今月発売されるファンタジア文庫「おおコウスケよ、えらべないとはなさけない!」にドット絵によるちびキャライラストを5点描かせていただきました。ラブコメディで、意外にも「読書系」青春してる、甘酸っぱい文庫本の端々でヒロイン二人と主人公がちょこちょこ主張しております。ドットを打つ前に一気読みしましたが、この物語、読書好きにはたまらないですよ。よかったら紙面でお会いましょう。
 上記特設サイトで一部ドット絵が見れるのですが、その一方で決して見逃してはならないのが、「七人の武器屋」大楽絢太さんが次に世に出す新作「BIG-4」です。いやもう、見るからに面白そうじゃないですか! 挿絵は今野隼史ではないけれど、凄い絵を描かれる方が付いていて、羨ましいやら安心するやら(笑)。たのしみだ。みんな買って読んで、大楽さんにしこたま続きを書かせよう。


11/17 Thu
Tシャツ「真田ぬこの運転」
真田ぬこの運転
[S/M/L/XL 3500\]


 平野まさのりさんの描く「真田ぬこ」という名前のうろんで素敵なキャラクターが10月にTシャツになったと聞いたとき自分は「スゲェ!」と叫び、その三秒後には「格好いい! 欲しい! 買おうかな? 買えるかな?」と自身のお小遣いと相談を始めておりました。
 そんな自分のツイートを見ていたillus-Tさん(このTシャツを企画製作された方)が、サイトでレビューしてもらえたらシャツを格安でお譲りします、と直接申し出てくださったのです。
 こんな渡りに船な話って、そうそうない! ありがたい(平野さん、illus-Tさん、ありがとうございます)!

 そんな素晴らしい巡り合わせのおかげでめでたくゲットできたTシャツ、写真付きで紹介したいと思います。
 原画である、平野さんが描く超ポップでクールでちょっと奇妙な「真田ぬこの運転」は、pixivTINAMIに投稿されているので、必見。憧れる。

Tシャツ「真田ぬこの運転」を着てみた。波止場で
 さてせっかく素敵なシャツも頂けたわけだし、無精髭のイケメンに着て貰って廃マンションの内階段とかでばしばし黒レベルの強いスタイリッシュな写真を撮ろうと思ったものの、そういうコネがなかったので、当初の目論み通り自分が着てみました。波止場で。
 4種のサイズの中で自分は「M」を頂いたのですが、179cm/ちょい痩せ体格の(胸板がないことに定評がある)自分の場合、やはりMがジャストフィットという感じですね。(一度洗濯しているので、ほんのわずかに縮んだかも)
 「Tシャツはゆったり着たい」という人や体格ががっしりしてる人は「L」サイズ以上を選んだ方が良いと思います。
Tシャツ「真田ぬこの運転」の拡大図
 表面の風合いはこんな感じ。軽めで着やすい布地なのだけど表面が案外ラフな風合いで、絵柄に合ってます。着こんでプリントがかすれても格好良くなりそう。
 プリント部は精細なシルクスクリーン印刷で、わずかに光沢のある黒。品質は文句なしに「市販」レベルです。
調子に乗って撮ってみた

 実は今は冬です。Tシャツ一丁で波止場に立つには厳しい季節だったため、パーカーを着ておりました。上に何かを重ねるのもいいなー。イラストの使用面積が遠慮無くでかいので、上着でちょっと隠れたくらいでは絵のインパクトはまったくかげりません。描線の迫力が半端無い。


 女性はSサイズを選ぶのが良さそうですよ(Sサイズはちょうど本日から取り扱いが始まったみたいです)。
 そんなわけで、末永く着ようと思います。ills-Tは「イラストレーションの表現媒体としてのTシャツ」という、絵を描く人間にとっても凄く面白いコンセプトを持つプロダクトで、気になった方は一度覗いてみると「これは合う」という素敵な一枚が見つかるかもしれません(自分もTシャツ作りたくなった)。ナイスですよ!

[illus-T official WEB]
["真田ぬこの運転"Tシャツの商品ページ]


11/18 Fri
Daezon

 Savedtektyさんの手掛けるフリーゲーム「Deazon」のタイトルイラスト、キャラフェイスグラフィック数点を描かせていただきました。RPGツクール経験者であればあるほど触れて実感できる、「どうやって作ったんだ……」という凄みを備えた自作戦闘を筆頭に、ツクール2000全盛期を思い出させる個人の持てる極限の創作意欲が存分に叩き込まれた、超熱い作品です。
 自分から見ると懐かしさと凄みがない交ぜになって、とても眩しい。こういう時代がかつてあって、そして今も脈々と続いているのだ(ツクール2000は現時点の最新OSであるWindows7(64bit)までそつなく対応しています。これまた凄い話。世界一クロスプラットフォームなゲームエンジンだと思う)。素敵だなー。
 寒さ増してきたこの時期、どっしり腰を据えてRPGを遊びたい方にぴったりのゲームだと思います。ぜひぜひ。


12/1 Thu
Schrodinger Folks

 どこまで行っても「次なる〆切」が目前に迫っている状況。光が見えたか見えないか、てかんじに11月は過ぎ去って、12月がやってきました。年内に残る仕事はあと四・五件。健康に年越すために、慎重に働こうー。


12/15 Thu
Schrodinger Folks cover

12/31の冬コミ情報ページ
を公開しました!

 このコミケ向けサイト、ずっと同じ情報ページを元にして作っていたのですが、流石にオリジナルのソースが構造文章ともに古くなっていて、整備するのに思いのほか時間が掛かってしまいました。htmlをいじる生活を始めて長いですが、年輪みたいに必要に応じた技術が身について行くもんだなー、と、何となくしみじみしてしまいます。

 先日から始めたハングル版「武器屋」譲渡計画(上記)、一人の方からお声掛け頂いて、一セット旅立っていきました。嬉しい。
 今回は明確に「コレクターズアイテムとしては譲らない」条件設定を行っていて、なかなか欲しいと言い出すのは難しいと思うのですが、やっぱり読まれるのが本の幸せだと関わった人間としては思うのです。
 残り2セットも、行くべき所へ行ってくれるといいな。
「我こそは! 読むぞ!」って皆さんのご連絡、気長にお待ちしております。


12/20 Tue

「謎解きはディナーのあとで」ドラマがすっけー面白かったな、と見た直後にこの文章を書いています。テンポ良かったなー。お嬢様可愛いな。そして影山を酷くするとキース・ロイヤルに近づきそうだな……。もっと観たいなと素直に思った。こういうポジティブに脳天気に、そしてさりげなく緻密に作り込んでる(ミステリーで常々思ってきた「つまんなくなりそうだな」と思うたぐいのシーンを理性的な思い切りによりばっさり軽量化してるバランス感覚も、現代的で素敵)世界観がたまらなく好きでした。see you soonに期待してもいいのでしょうか。うむ。面白かった!


12/22 Thu
この絵を元にしてヴィネット風ドット絵を打ち下ろしております
RPG W(・∀・)RLD10巻、発売中。今回巻末に多くページを頂けることになり、自分が「背景付きのキャラクタードット絵メイキング」を6ページほど執筆させていただきました。
 ドット絵メイキングってなんだよ!
 手前味噌ですが、これは、日本の文芸史上初のコンテンツではないかなーと思います(笑)。
 物語も終盤に差し掛かり、この巻で大きく展開が加速してきました。どこまでドット絵が追随していけるかは分かりませんが、ドッターとして参加している以上(ドラマガで1Pマンガとかも描いているのだけど)、最後までドットを打ちまくろうと思います。来年もどうぞよろしく。

 ポスター用の紙管を補充したりサークルスペース用の看板を用意したり(今回はお隣「ばんそうこう。」さんと半分ずつ面積を分けて描くつもり)、あと年賀状を用意したりと、年の瀬はいろんな準備を強いてきます。そつなくこなさんとねー。


12/28 Wed

 寒すぎる!! 乾きすぎ!! 自分は寒いことでお馴染み日本海側東北出身の人間なのだけど、関東の雲一つ無い空っ風の冷たさは地元とは全く違う経路で肌身に染み入って、滅茶苦茶寒いのです。鉛色の空じゃないと冬って気もしないし、なんだか季節感覚もここ数年中途半端だ。鼻が痛い。

 そんな冬を過ごしつつ、クリスマスもケーキ(奥様謹製)やサーモン寿司(奥様謹製)やモスチキン(モスバーガー謹製)を美味しく頂きながらつつがなく過ぎていき、もうすぐ年末とコミケですね。あれこれ当日並べるものを準備しつつも、一方ではまだやんなきゃいけない仕事がある。仕事納めがしにくい稼業だね……。
 年賀状は無事に出したのですが、その一環で昨年出し損ねた年賀状(うさぎ)が七枚ほど机の引き出しから発掘されました。業者でプリントされた綺麗なもので、干支が変わっちまう前にコミケで有料頒布しようと思います。みかけましたらよろしくー。


12/30 Fri

 仕事に圧迫されてほとんど冬コミの準備ができず。経験上準備の入念さに比例してコミケの楽しさは増すので(当日ばたばたすると楽しめるものも難しくなる)、これは下手打ってしまったー。くそう。フリーランスは仕事納めがしにくい稼業だけど、単にスケジュール管理の下手さが理由だ。もっと休みを作るのが上手くなりたいな。
 奥さん(この方は毎回コミケに完璧な準備をもって臨まれます。頭が下がる)の手によるトマトカレーにより、今年の自分のカレー道は美しき終焉を迎えたのでした。美味いッ!

12/31 Sat COMIC MARKET 81 Report (2011.12.31)

 大晦日に開催された同人誌即売会「コミックマーケット81」参加記録。写真の内容とは厳密に関係しない断片的なメモの羅列で、今回はレポートと代えさせていただきます。記録する余裕がなかったというのが唯一の要因! やっぱ余裕がないのは、いかんねー。



 奥さんにしてお隣のサークル「ばんそうこう。」主催者・神無宇宙さんに引っ張られて五時半起き。
 焼け始めた空、光の中央部分に太陽の柱が小さく立っている。
 新橋にいそいそと向かう。今回はキャリーカートにポスターの管を15本ほどくくり付けて歩いてます。


 今回はいろいろと準備不足のままビッグサイトに向かったせいで、開場前後の周りの雰囲気があんまし観察できませんでした。いつもと言えばいつもの空気、乾ききって寒かったなあ……。


 我が「辺境紳士社交場」とお隣「ばんそうこう。」はモ01というホール入り口至近に位置していたため、開始を待っている長大な人々の列(開場前なのに、この人たちはどこから来るのか……)や、ホールの中に流れ込んでくる莫大な流量の人々を目の前にして、こりゃすごいなあと口をあんぐりすることしかできない。



神無宇宙さんが受けていたスケブの一部。「空の布の穴の魔女」より。
固形水彩を持ち出して着色をしてるのがもう想像を絶するくらい凄い



 通りを挟んですぐ右の方に吉村麻之さんの「むきりょくかん。」が見える。五冊机の上に積めば机のキャパシティぎりぎりに達することに定評のある鈍器、もとい「だるふぁいと! TRPGリプレイ」が鎮座しておられます。つくづく物理的に異様な存在感のある本だなー。
 背幅18mmの本の装丁を手がける機会なんて、自分は今後無いかも。面白い本作りが出来たと個人的に会心の一冊です。


 10時!
 コミックマーケット81・三日目が華々しく開始したとたんに、まるで号砲をぶっぱなすがごとく、待機列のはるか彼方から列を制御するスタッフの怒号が響きわたり、地の底より伝播する轟音を立てて列が動き始めた。この威容はいっつも自分に川を横断する水牛の大群をイメージさせる。そりゃあこの人数と勢いが世の中にあるんじゃ、地球のどこかには開始10分で数千冊の新刊が完売するようなサークルもあるわけだ……。



スケッチブック抜粋。2012年は年賀状でもマーガスを描いてたりする



 開始時間を迎えてもなお片づかない足下と、未完成のディスプレイに悪戦苦闘しつつの売り子作業だったので(お隣の奥さんにはご迷惑かけました。頭が上がんない)、午前はばたばたしたまま過ぎてしまいました。いやー、今回つくづく、周りを見る余裕がなかったなあ。
 ディスプレイに関してはやっぱり前日準備しとかなきゃいかんね(反省)。


 午前の繁盛が凄かった印象があります。水分を取る暇が無くて、すっかり喉が渇いてしまった。
 一人店番で周囲を回ることが全然できなかったのが惜しまれる。挨拶したい方が遊びに来てくださったことは多々あり、これはとても幸いでした。ありがとうございます。
 いつのまにやらどうわけだか二次元の壁を越えて、sukuranburuからマエマエ(2011/6/11参照)も遊びに来てくれましたよ。わーい!



スオミさん(フリーテーマ)



 人目に触れやすい「お誕生日席」とは言っても、最終的な来客数が激増する効果が必ずあるわけではなく、やはり来てくれる方のほとんどは、うちのサークルを巡回リストの中に入れてくれている人たちみたいでした。(ありがたいことです!)
 ごくたまに寄ってくれる一見さんの目と足を止め、本を手に取らせて、「こいつは面白そうだ」とそのまま持って帰ってもらえるかどうかが、ある意味サークル参加をする上での本当の正念場。

 コミティアを勘定に入れない場合、うちの新刊は「シンメトリカルゲイザー」「シュレディンガ・フォークス」の二つです。両方を手にとって買っていってくれる人が全体の三割くらいいたという印象でした。
 コミケでだけ自作に触れてくれる人が、もちろん、たくさんいるのだ。
(超近所なためリプレイ本は委託していなかったけど、やっぱり少しだけ置いていても楽しかったかもしれない)


 この場所に長く座ろうと思うのであれば、一見さん、初参加の人、初めてうちを訪ねてくれる人が、必ずいると考えておく必要が(きっと)ある。
 そういう人たちにもちゃんと魅力的に映る本、初見で目を止めてもらえる本が作れたら嬉しいなぁ、と自分は思います。
 ……それで、見本をじっくりめくった方が「ありがとうございます」と品よく一礼して見本誌を丁重に置かれるたびに、自分は「もっと中身が良ければこの人は絶対買ってくれたぞ。俺め! ぬるい本を作ったこの俺め! 次こそはグギギー」と内心激しく悔しい思いをするのです。これはかけねなしに"良い意味"です。次こそは、です。



初の「絶体絶命英雄」リクエストッ!



 "見本誌"表示のために包装紙を横長に切り取って帯として巻いてみた。習慣なのか錯覚なのか、なんだか帯が付くと一気に「売ってる本」っぽくなってよいね。
 本は「帯無し」状態の美しさを考えてデザインするべき、と森博嗣にかぶれて作ってた表紙でしたが(表紙のタイトルが下に配置されてる小説って、日本にはほとんどないでしょう?)、次の機会があったら手作りでも「それっぽい帯」をくっつけてみるといいかもな、とちょっと思ったり。人間、色々矛盾してることを思うもんです。

 18禁という恐るべきハードルのあった夏のイベントに比べて、今回冬コミでは素直に女性のお客さんが増えていた印象でした(よかったよかった)。でも、シンメトリカルゲイザーを買ってった方もコミティアに比べて、女性の数が底上げされてたような気がする……。
 そして今回は、「絶体絶命英雄見てから来ました」と、連載の感想を教えに来てくださった方も少なくありませんでした。ありがたい!

 シュレディンガ・フォークス、当サークルにとって全く脈絡のない小説本だったけど、一見さんの方にも「なんか変わってる」という理由で手に取っていただけたことが数度ありました。心底嬉しい。


 ハムスタジオ・猫助さんの代理の方の手を介して、アイマスにまつわる生イラストを頂けましたー! 今回は館が東西に分かたれていたため直接足を運んでの新刊購入を断念していたのだけど、こいつはなんたる天恵! やったー!
 代理の方には「自分は猫助さんのファンなので、新刊がこれからも出るようにプレッシャーを掛けてくださいお願いします」と伝えさせて頂きました(笑)。ありがとうございます!


 昼過ぎには自宅から発掘してきた古い既刊も仲良く完売し、15時には135部持ってきてた「シンメトリカルゲイザー」もすべて買われていってくれました(残る手持ち在庫は、自宅にある100部のみ)。
 お隣の「ばんそうこう。」奥さんのほうも、彼女との長年に渡る付き合いの中で初めて「もっと本持ってくれば良かったよー。わーん」という台詞を聞きました。自分はこの人の配偶者にしてファンでもあるので、本がたくさんの人手に渡るのは純粋に嬉しい。みんな読もうぜ。

 振り返ると、バランスのいい盛況でした。
 我々がいい本を作ったからだというのは当然として、これは素直に場所に恵まれたこともあるからだと思っておこう。良かった!
 通路挟んだお隣、「むきりょくかん。(2011/12/31日記によるアフターレポートが面白い)」も良い一日だったみたいで、表紙を描いた身としても勝手に鼻高々です。買ったみんな、TRPGは楽しいよ。



「むきりょくかん。」ディスプレイ。並べ方が全体的にシンプルで良い感じ





 搬出でしこたま苦労した先日のコミティアを思い出し、今回はキャリーカートを二台持ってきております。やっぱり痛みから出た教訓は生きて、今回はかなり楽々搬出することができました(もちろん一人ではこんな楽はできなかった。手伝ってくれたお二方には心より感謝です)。
 今年最後の太陽が沈む。
 うちのサークルは集計すると夏よりも冬コミ出展が多いのだけど、これは、「一年の最後にいろいろな人に会って、いろいろ賑やかだったな」と、暮れる空を眺めながら思うために他なりません。あと気候的にとても快適だからでもあります。空気が澄んでるだけで、夏と冬はもう違うイベントみたい(笑)。



帰るゆりかもめより逆ピラミッドを眺める


 実は次回の夏コミ不出場を決めており、申し込み表は買わずに帰ってたりします。
 2012年の社交場刊行物は一冊にしよう、今度は自分自身納得いくものをじっくり作って年末の冬コミで発表しよう……とか考えてるのですが、ひょっとしたら春くらいにはもう「やっぱ薄い本を二冊作ろう」みたいな心変わりを起こしているかもしれません。
 そのときはコミティア(+WEB通販)に発表の軸足を移した後に冬コミにしれっと並びますので、2012年もどうぞ、よろしくお願いいたします。



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[ 2012/1 ]