……Go home》
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Contributor : ねずみのママさん
「今日、街であの人に会いましたよ……なんだかものすごくひさしぶりだったんで、顔を忘れちゃったくらいですぅ」 「誰に会ったって?」 「ほらぁ、あの人ですよぉ……ええと」 「名前まで忘れちゃったんじゃないでしょうね」 「えっと……あの人ですよあの人。私の顔じーっと見つめて、『どこが似てるんだろう』 とか言って、そのまますーっと行っちゃったんですよぉ」 「ああ、だいたいわかった。そいつなら俺も今日会ったよ。歩きながらなにか考え事してたな。よぉ、しばらく、と声をかけたら、『本当は左利きなのかそれとも右利きなのか、どっちだ』っていきなり聞かれた」 「で、どう答えたの?」 「『まあ、一応両方使えることになってるが、どっちかというと左が多いかな』と。なるほど、とかなんとか口の中でぶつぶつ言いながら、行っちまったよ」 「ふーん。私はね、『プライベートで着る服は、何色がいい?』なあんて、聞かれたわよ。ちょっと期待しちゃおうかな」 「あー、テムズさんいいなー。ひとりだけ、ずるいですぅ。贔屓ですぅ」 「まあまあ、どうでもいいじゃないか、サリー。ただ聞いただけなのかもしれないし」 「私も新しい服、欲しいですぅ……」 「それじゃあとで上に行って、頼んできたら?」 「えぇ? いるんですかぁ?」 「泊まってるのか? 珍しいな」 「一晩だけ、ね。最近とっても忙しいらしくて、なんとかいう木の実のグループやら、ニンジャの放送局とかのほかに、頼まれ仕事も多くなってきたみたいだから、前みたいにずるずる居座ることはなさそうね」 「大変だな」 「少しは見習って、まじめに働けば?ウェッソン」 「俺はいつだってまじめさ」 「冗談にしか聞こえないわね。さてと、そろそろ開店準備をしなきゃ。ひさしぶりにフィッシュアンドチップスをつくろうかな」 「わぁ、ほんとですか?嬉しいですぅ」 「あと、小さいケーキを焼いたから、飾り付け手伝ってくれる? サリー」 「はぁい」 「やけに張り切ってるな、たまに客が泊まるからか」 「今日、誕生日なんだって。私たちもお祝いしてあげましょうよ」 「それじゃ私はプレゼントをあげますぅ。このあいだおじいさんからもらった――」 「あ、あれはやめとけ、サリー。これ以上犠牲者を出すな」 「えー、どうして? とってもナイスなプレゼントなのに」 「ああ、それじゃあとで庭の花でも切って持っていってあげたら? とにかく仕事しましょ。もうじきお客さんが飲みに来るわよ」 「はーい……」 おしまい
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