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アリスト：（♪ギャァァァァン）愛。　愛って愛ってなんなん――それが愛ってぇ事さ――（ジャンジャン）
アリサ：…………。
アリスト：（♪タラリリラリリリルロラリラ）真実。　それに救う価値はあるかい？　それはいつも一つかい？　追い求めて旅の果に見つかったなら――真実は君の足下でふみこかされているさ――（ジャンジャン）
アリサ：…………。
アリスト：（そそくさとギターケースを広げて）静謐なる応援ありがとう、愛らしいレディ。聞き入ってくれていたみたいだね。さぁ、賛辞の言葉をお金にする方法を教えてあげようじゃないか。
アリサ：…………間違えた。じゃ、さよならー。
アリスト：……なんてこったい。いったい聴衆は死んだか!?　芸術は満たされてしまったのか。道端で座ってても、僕の真実の歌に誰も耳を傾けてくれなくなったってのかい……。あー、やだ。もうやだ。
アリサ：真実ってふみこかされるもんじゃなかったっけ？
アリスト：重箱の隅だよ、お嬢さん。そこに泉はない。知ってる？　愛の歌に心潤されるは心の中に泉を持っていると言うね。枯れていても良いのさ、底に源泉が残っていれば。ところが君はどうだ？　感受性のかけらもありゃしない！
アリサ：そこでどーしていきなりストレートになるのよ。
アリス：ぅ、うぇぇぇぇぇ〜！
アリサ：おわぁ!?　な、何!?
アリス：うっ、……うっ。ひっく。か、感動しましたぁ〜……っ、ひっく。にゃ、なんて素晴らしいんだろう！
アリサ：あ、アリスか。なんだ、一瞬吐かれるかと思った……。
アリス：こんな心どつかれる歌初めて聴きましたっ！　愛って、愛って……そうなんですね！
アリスト：そうだよ、お嬢さん。真実より遥かに先、（♪ポロロン）追い求める前に心の内に光る……それが恋って事さ――（ジャンジャン）
アリス：うえーん！
アリサ：待たんかい!?　微妙に違ってるじゃない！
アリスト：小手先のバリエーション変化を君のような小娘にとやかく言われる筋合いはないよ。
アリサ：身も蓋もないじゃん。しかもかなり失礼になってるし！
アリスト：世界は詩人と聴衆でできてるのさ。僕にはこのお嬢さんがいる。君は要らないから、早くその心根にお似合いの砂漠にでも埋まりに行きなさい。
アリサ：唐突にたとえ話になるのね……。
アリス：きゃあ、なんて詩的なの!?　アリサさんはサボテンなのね……（えぐえぐ）
アリスト：そうさ。
アリサ：違うんですけど。
アリス：帰ったら先生に言わなきゃ。セリーヌとサボテンの良いお友達が居ますから、週に四日くらいなんとなく検診に来てもらおうって！
アリサ：なんとなくって……。
アリス：お願いします、詩人さん。わたしにもっといい歌を聴かせて下さい〜！　そうすれば、もっと、もっと……毎日がうまく行くような気がするんです！
アリスト：いいね、それでこそ泉の聴衆さ。何を歌ってあげようか？　レバートリィは一ヶ月分はある。
アリサ：（くるっ）さよなら……。きっと、ここに来たのが間違いだったのね。
アリス：そうですね……あ、そうだ！　おたからの詩を聴かせてくれますか!?　わたし、生きててちっとも見たことがなかったんです！
アリスト：やあ！　渋いセレクトだね、お嬢さん。ちょうどいいのがある、海賊と海賊島とのお話でね――
だけど、その前に、僕にとってのおたからを君から……そう君から貰いたいんだ。いいかい？
アリス：えっ……？（ぽっ）
アリスト：知ってる？　金属の煌めきがお話にリアリティをくれるのさ。ほんの少し物語に協力してくれないか。そう、このギターケースに銀貨を一枚でいい――
アリス：は、はいっ！　喜んで入れさせてあげ頂きます！　良かった、丁度お給料日だったの、今日。また減らされちゃったんですけどね、えへへ……。
ちょっと待ってて下さいね、おさいふが――おさいふ――あれ、
セリーヌ：財布はこれかしら。
アリス：そうです！　うひゃあ、セリーヌ!?
セリーヌ：あなたの個人的な散財に口出しする気はないけど。（がしっ）
アリス：え？　なんで手を掴むの？
セリーヌ：手は出しておこうと思って。帰るわよ。
アリス：へ？　あーれ〜〜〜〜〜!?（ずりずりずりずりずり）
アリスト：（♪じゃらららん）それで、その海賊島って言うのは、ドーナツ――おや？
アリサ：ドーナツ？
アリスト：……………………ドーナツが食べたくなってきた……。今日は店じまいとするかな（ばたん。ざっざっざっ）
アリサ：………………。
　そもそも、なんで今回はこの三人だったんだろ……？




ウェッソン：ん……、俺か。ここしばらく気になってたが、役割分担って最近考えられてるのか？　俺は管理人の言い訳を代弁する係だった気がするんだが……。
　まあ、激ツッコミに命を危険にさらすよりゃなんぼかマシだな。
　今回の投稿掲載は以下の通り。


本編第43話『Guns twilight』
番外編20話『Dogs on spring』
超短編第５話第５幕『The prisoner in the drowsing』


　こんな所だ。割と見所が多いが、俺としては誰がたこ焼きを食ってしまったのか、それが気になる。伏線は着々と広がってるみたいだな。誰に集まってるかはしらんが……。
　では、また来月だ。ちなみに誰もつっこまないが、エントランスは月刊とは限らない。なんで来月と言ってるのかについては、俺の言い訳待ちになるんだろうな。


●こんがらがったあなたは正常です。つづく。