誰よりも見慣れた、赤毛の女の子が、
雨に濡れそぼりながらわたしをまっすぐに見ている。
「リーズ……」
「思った通りだ。やっぱあんたがやってたんだね」
「…………」
「大半はあんたが殺してたんだね。シリア」
「…………」
ここですべて終わる、と、わたしは思った。
まだ、この舞台には死体が一つ足りない、と
わたしの冷静さだか狂気だかが直感した。

違和感は感じていたのだ。
こいつの姿。
いや、その色合いに。
その右手に。

ありえないものが握られている。

「知ってるよね。ほうれんそうはあたしの野菜だよ。
 かってに使っちゃ、いやだな?」
リーズはそのまま手を差し伸べて、
大根の切っ先をわたしの眉間に向けた。
「もう、やめにしよーよ」


…………