「ひッ……!?」
ひとつだけではない。
そのすべてに見られている。
床にへばりついた三対の瞳。
薄緑色の反射が濁ったガラス玉に跳ね返っている。

……何故だ。
…………君は……
こんなものは知らない。

風鳴りと呼気が重なる。
一向に収まらない。

「こんな死体は知らない」
口早に呟いたところで。
びしょ濡れの石床にうち捨てられた三つの少女達からは
空洞のような脇目を注がれ続けている。

もう少し君の後ろ髪が長かったなら、
上下する肩に吊られて
ばさり、ばさり、音を立てていただろう。
風鳴りと呼気と動悸が重なる。

君は。


死体を調べる