「うぐ……っ!」 最初に感じたのは何だったのか。 ――唐突に背中に衝撃があり仰天しそうになったが、 それは自らもたれかかった壁の感触だった。 一瞬暴れた心臓の動きに鈍い痛みを覚えながら、 「し……」 そう、 「死んでる……」 死体だ。 薄明かりの下で、壊れたマネキンのように いびつに横たわっている二人の少女。 さっすまの二人が、死んでいる。 「ニャ」 目線をずらすと、 いつもオマケに付いている黒猫も死んでいる。 君は言葉もない。 いまさらなにができるだろう。 過去三冊の落描き本に漫画が載って、 たまにサイトで超短編漫画が繰り広げられる程度の たわいもない活躍をするくらいだった 無害な彼女たち。 しかしそれも、こんな形であっけなく潰えている。 二人の表情は揃ってほうけていて―― そこまでして驚くべきものと、実際鉢合わせたかのように―― ぽかんと開いた口から紅いものがこぼれている。 不意に。 ――ごぼり。 「う……!」 おぞましさに目を背けて、 それを見てしまった。 必死で吐き気を堪えるが、 そうだ、最初から感じていたのだ、 「ぐ…………!」 闇に溶けきったこの耐え難い臭気。 その答えを、君は知っている。 見るまでもなかったのだ。 彼女たちの命を奪ったものは、 ………… |