「なにが!?」
 ……思わず荒げた声に、
 何も反応はない。
 人気のない穏やかな郊外。
 君はそこに建つ、一軒の辺境紳士社交場の前に立っている。
 風はない。
 背中を差す暖かさがなんだかぼやけている。
 
 小川の流れる音。
 今はそれだけだ。
「………………」


立ち去る
立ち去らない