とても信じることなどできない。
「お休み? そんなばかな」
君はうめいて、ドアを二三度こぶしで打ち付けた。
もちろん、立て付けの悪い木扉をきしませないように、ジェントルに。
もうこの入り口も、十年目を数えようとしているのだ。
苔むした年月に思いを馳せる間もなく、そんな気もなく、
扉は全く応えようとはしない。閉まっている。
さわさわと木々が葉を鳴らした。
陽光は君の背を暖め続けている。
「お休み……?」
もう一度君は呟いた。
季節は春。
「どうする?」
かえる
かえらない