epilogue

「はいみんな、集合〜っ。遠征だよー」
「あ! 漣! 秘書室に38巻持ってったでしょー! やめてよ、私飛ばして39巻読んじゃったじゃない。急に現在に戻ってコズミックの師匠どうなったんだろうって思ったわ」
「雷の言ってたとおり、師匠の正体は大宇宙意思ニノノロンパロロノムだったよ」
「ええええひっどいネタバレとかありえなーい! 意外すぎるし! 私、そんなの言ったっけ?」
「ごごごごめんなさい……それ言ったの電なのです……お風呂の中だったし間違われたかも……」
「ああ! 泣かない泣かない!」
「んで、遠征ってなんなんだよ」
「ご主人様が、最終回だから、艦隊のみんなでそろって観艦式行ってこいって」
「観艦式ィ? こないだやったばっかだろ! お前観艦式好きだなぁ」
「それって那珂ちゃんたちに、デビュー地に立ち返りなさいってことなんだと思うよっ☆ タンカーのみなさんとボーキサイトのみなさんはもうがっちりファンで支えてくれるしー、原点ってきっと、私達の輝けるネクストブリリアントステージなんだよー!」
「俺達ゃ見せもんじゃねーんだぞ。偵察とか防空とか、ヒリヒリするやつねぇのかよ」
「そうよねえ♥ 天龍ちゃん、前の観艦式で撃った空砲、ほんとは実弾だったのよね〜♥ あれはかなり、特殊なファン層を撃ち抜いたんじゃないかなぁ? 上層部が知ったらどれだけ天龍ちゃん、褒められるかしらね? そういえば同じ日どうしてか、送電線がちぎれ飛んで大規模停電が起こったのよね」
「おいやめろ。……マジで報告しに行くなよおい! コラちょっと、待っ、すげー力!」
「んじゃみんな、式次第ここに貼っとくから見といてねー。出撃は明朝0430時。日の出早いから早起きだよ。みんな寝坊しないように! かいさーん!」
「はーい!」「早すぎ……夜戦明けダメ?」「了解!」「これが勝利へと続く栄光の花道というわけね! 素晴らしいわ、たぎるわやるわ!」「わかったー」「ええっ私航空部隊の代表なの!? こないだ赤城さん来たのに!? 荷が重い! お姉〜っ」「うふふ♥」「わいわい!」「いい加減てめーとはここで決着を」「がやがや!」………………
 ……………
 ………
 夕刻の広い食堂にはまだ、ちょっとだけ艦娘が残っている。
「ねえ、漣?」
「んー?」
 声を掛けてきたのは、雷。
 彼女は艦隊名簿の二番目に名前が載っている、この艦隊に「来た」初めての艦だ。
「ちょっと、嬉しそうよね?」
「うん」
 漣は気軽に頷いた。
 わかるよ、と言って、雷が「ここ、最初すっごいがらんがらんだったよね」と笑った。
「うん。最初、日替わり定食もなかったしねー。メシウマにほどとおかった!」
「ほんとほんと。カレーがいろいろ選べるようになったのも、あそこで勝ったおかげよね」
「あれ嬉しかったよねー。世の中はカレーの具をシーフードにする人とそうでない人に分けられる」
「私どっちも好きだわ。なにそれ?」
「食堂もいろんな人増えたってこと」
「うん。そうね。ねえ、漣」
「ん?」
「もう寂しくないわよね?」
「……」
 窓からカモメを見物していた漣は、
「んー……」
 横目でおせっかい焼きの駆逐艦を見て、
「……うん。ちょっと感謝かも。ちょっとね」
 いつもの口癖で笑った。







(艦これプレイ絵日記 -METHOD of the SEA- おしまい)